研究課題/領域番号 |
22K16154
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
石渡 遼 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 助教 (30805916)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 血管石灰化 / 血管平滑筋 / Transcription Factor EB / リン酸 / 血管平滑筋細胞 / TFEB |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎不全患者に特徴的な血管中膜の石灰化は動脈瘤や解離の素因であり, 石灰化の程度は心血管関連死と相関している. TFEBは, ライソゾーム活性化に寄与する主要な転写因子である. 申請者は, 高リン酸血症下における血管平滑筋細胞でのTFEBの分解促進が石灰化の一因であることを報告した. 本研究では, TFEBが血管石灰化の治療標的足り得るか明らかにすることを目的とし, ラット慢性腎不全モデルを対象に検討を行う. TFEBの過大発現の効果を検討するとともに, TFEBのユビキチン認識部位を同定し, TFEBの分解抑制による血管石灰化の治療効果を検討する.
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研究実績の概要 |
血管石灰化は慢性腎不全の主要な合併症である. リン酸は石灰化基質の材料となるだけでなく, 血管平滑筋細胞の形質転換を促し, 血管中膜の石灰化を進行させる. 既存の治療は血中リン濃度管理を軸としており, 複数のリン吸収阻害剤が開発されてきたが, 明確な効果の認められたものはない. 申請者は血管平滑筋細胞において転写因子TFEBが慢性腎不全および高リン酸環境下で減少することを発見した. TFEBは細胞内消化器官であるライソゾームの合成促進因子である. 申請者は, TFEBの減少がライソゾーム障害の進行を介して血管石灰化を増悪させること, TFEBの減少はユビキチン‐プロテアソーム系による分解によるものであることを初年度の成果から報告した. また, TFEBの過大発現による血管石灰化の抑制作用を検討したが, 血管平滑筋細胞では, 生理的条件でTFEBの過大発現を防ぐ機構が存在することが示唆された. そこで第2年度は, 高リン酸環境において血管平滑筋におけるTFEBが分解を受ける機序および, TFEBのユビキチン認識部位の同定を目標として研究を実施した. 血管平滑筋細胞の培養系において高リン酸刺激は, TFEBの不可溶化分画への移行を促した. TFEBの可溶性は, ユビキチン化に依存して調節されることを見出した. また, TFEBのリジン残基の一塩基変異体の過大発現実験の結果から, TFEBのユビキチン認識部位は複数存在し, かつbHLHおよびleucin zipperドメインの近傍に存在する可能性が高いことが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TFEB変異体作成によるユビキチン化部位の同定を進めているが, 単一のアミノ酸変異では, プロテアソームによる分解耐性が得られず, 複数のユビキチン化サイトが関与している可能性が示唆された. TFEBの分解に必要十分なユビキチン化サイトの同定に至っておらず, 治療効果の検討を実施できていない.
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今後の研究の推進方策 |
従来, プロテアソームによる分解にはタンパク質のユビキチン化が必要と考えられてきた. 一方で, 昨年ユビキチン化に依存しないプロテアソーム分解の存在とその機序が報告された(Makaros et al., Molecular Cell, 2023). この報告では, タンパク質のC末端に存在するC-degron配列が認識され分解を受けることが報告された. TFEBのC末端はC-degron類似配列を含むため, 次年度はTFEBのC末端が高リン酸環境におけるTFEB不可溶化および分解亢進に関与する可能性を含めて検討を行う.
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