研究課題/領域番号 |
22K16162
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鶴巻 寛朗 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (40781331)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | TDAG8 / 気管支喘息 / pH感知性受容体 / 気道上皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
抗炎症及び気管支拡張治療により気管支喘息(bronchial asthma; BA)の多くは制御されたが、未だに難治性喘息は存在する。BAでは気道内は低pH環境になるとされ、我々は低pH環境で作用するpH感知性受容体の一つであるTDAG8(T-cell death-associated gene 8)が炎症細胞や気道上皮細胞に存在し、Th2サイトカインを介さずに好酸球浸潤や気道粘液産生を促進する可能性を示した。本研究では気道上皮細胞およびBA患者血液検体を用いて、TDAG8がTh2を介さずBAに関与する機序を明確にすることにより、BAにおける新規治療標的となるための知見を得る。
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研究実績の概要 |
本研究では、気管支喘息の治療標的とされてきたサイトカインが関わる気道炎症とは異なるpH感知性受容体であるT-cell death-associated gene8(TDAG8)を介した新たな喘息のメカニズムを明らかにして治療標的となりうるかを検証することを目的としている。 これまでの研究でOvalbumin誘導喘息モデルマウスにおいてTDAG8が好酸球性炎症、気道粘液産生に関与する事が判明したことを発展させて、3年間の計画で以下の2つの研究を行う予定である。①細胞レベルで気道上皮細胞おいて低pH環境およびTDAG8が気道粘液産生に関与するメカニズムを明らかにする。②ヒトレベルで気管支喘息においてTDAG8の発現と臨床指標との関連を明らかにする。 2022年度は、気道粘液の構成成分であるMucin5AC(MUC5AC)産生において低pH環境が与える影響について評価した。気道上皮細胞株(NCI-H292)をPhorbol 12-myristate13-acetate(PMA)刺激することで発現するMUC5Aは低pH環境において更昇することを確認した。また、siRNAを用いて同細胞株においてTDAG8をノックダウンできることを確認した。 2023年度は、低pH環境によるMUC5AC発現の上昇がTDAG8をノックダウンすることで抑制されることを確認した。現在は、このメカニズムに関わるシグナルを評価している。また、ヒトレベルにおいてTDAG8発現が気管支喘息の臨床指標とどのように関連しているかについては、研究期間を通じて臨床検体および情報の収集を進めている。収集した検体の一部はカラム法を用いてmRNAを抽出し、今後は、検体が集まったところで、real time PCR法でTDAG8発現量を評価することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、2023年度は低pH環境によるMUC5AC発現の上昇がTDAG8をノックダウンすることで抑制されることを確認し、更にMUC5AC産生のシグナル伝達において、TDAG8が影響するポイントをセカンドメッセンジャーとして想定されるcAMPの変化およびその下流のシグナルを評価することを予定していたが、それには至らなかった。今後はそのメカニズムについて研究を進めていくことを予定している。また、ヒトの気管支喘息における検体と情報の収集は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、現在までに気道上皮細胞株においてTDAG8をノックダウンしてpH変化によるMUC5AC発現の変化に関するメカニズムを解明するための実験を継続し、臨床検体の収集を進めることとこれまでに集積した臨床検体のmRNA抽出ならびにRT-PCR法によるcDNAへの変換を進める。引き続き、研究計画を順次調整して行っていく。
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