研究課題/領域番号 |
22K16194
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山口 覚博 広島大学, 病院(医), 助教 (90812991)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | HMGB1 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 肺障害 / 薬剤性肺障害 |
研究開始時の研究の概要 |
①担癌状態、特にHMGB1の増加が血管内皮を中心とした肺組織におよぼす影響を評価する(予備実験で確認した担癌状態における肺への炎症細胞浸潤増加の機序を解明する。) ②癌モデルマウスとコントロールマウスにマウスPD-1抗体を投与し、肺への影響を比較する(担癌状態がPD-1抗体による肺障害・肺への炎症細胞浸潤を悪化させ、肺における炎症性サイトカインの発現量を増加させるか確認する。) ③上記①②からPD-1抗体による肺障害の予防的創薬標的を探索し、その標的に対する治療で癌モデルマウスにマウスPD-1抗体を投与した際に生じる事象を制御可能か検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は免疫チェックポイント阻害薬による肺障害の病態解明を目指している。臨床検体で検討した結果から血中HMGB1が高いことが免疫チェックポイント阻害薬による肺障害の発症リスクを上昇させることを確認している。また担癌状態がHMGB1の上昇に寄与していることも確認している。これらを元に担癌モデルマウスに抗PD-1抗体を投与することでHMGB1と免疫チェックポイント阻害薬の肺障害の関連を明らかにすることを目指し研究を進めている。研究開始当初から現在に至るまで、免疫チェックポイント阻害薬による肺障害を定量的に評価可能なマウスモデルの作成ならびに肺障害を定量するためのエンドポイントを決定するための条件検討を継続的に実施している。現状までにマウスに移植するセルラインの選定を行いLewis lung carcinoma(LLC)とすることを決定した。LLCを皮下移植したマウスに抗PD-1抗体を投与することで「気管支肺胞洗浄(BALF)や組織を用いた肺の炎症細胞浸潤」や「dry/wet ratio」、「ハイドロキシプロリンの定量」など肺の炎症や血管透過性の亢進、線維化を定量する指標の中で今回の研究に適した評価尺度の選定を行ってきた。肺組織やBALFを用いた炎症細胞浸潤の定量的検討では抗PD-1抗体によって生じる肺障害を評価することが難しい状況であった。dry/wet ratioやハイドロキシプロリンの定量も指標とすることは困難と判断しており、現在は肺のホモジネートを使用してELISAで炎症性蛋白の定量を行うことで抗PD-1抗体による肺の炎症の悪化を定量的に測定できるか検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺障害を定量的に評価するための尺度の選定に難渋していた。2023度末に肺のホモジネートを用いた評価方法が抗PD-1抗体による肺の炎症を定量的に評価する尺度として有用なことを示唆するデータを得ることができたため、2024度からは研究の進捗を加速させたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
肺のホモジネートを用いたELISAキットを用いた蛋白定量が抗PD-1抗体による肺の炎症の評価に有用な可能性がたかく、今後はIL1β・TNFαなど複数の蛋白について肺の炎症の評価尺度となりえるか検証する。並行してこの現象にHMGB1がどのように関わっているかについて、担癌状態のマウスの血液中HMGB1を定量したり、HMGB1を抑制する薬剤(アスピリン・グリチルリチン・エダラボン・トロンボモジュリン)でこの肺の炎症が抑制可能か検証することを想定している。
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