研究課題/領域番号 |
22K16211
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
若林 華恵 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90645623)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 慢性腎臓病(CKD) / 腸内細菌叢 / 透析患者 / 尿毒素物質 / 慢性腎臓病 / 免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は5段階で構成され,特定の腸内細菌が透析患者の病態へ及ぼす影響を明確にする.①検体収集:血液・糞便試料を収集【透析患者71例,健常31例】②測定:糞便試料のメタ16s解析(明治製菓(株)との共同研究),血液中MDSCs測定.③解析:クラスター解析により近い腸内細菌組成をもつ患者グループを作成(図4),血中MDSCsの比較により免疫能低下に影響すると思われる菌種の候補を同定,候補とした腸内細菌叢を有意にもつ透析患者の感染症歴を検証.④裏付け実験:抗菌薬投与マウスを用いる,糞便移植は③で候補にした菌種を投与、⑤治療への転換:特定の細菌組成にする手段(食品,薬剤,便移植等)を動物実験で検証.
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研究実績の概要 |
慢性腎臓病(CKD)の症例は,感染症や心血管合併症のリスクが健常よりも高く,生命予後に関連する.我々の研究の最終目標は,CKD症例の健康寿命の増進であり,腸内細菌のDysbiosisを進展させない食事療法や薬物療法の選択,個々の糞便プロファイルの結果を生かした保存療法の確立を目指している.本研究は,CKD症例に生じる腸内細菌の変化がCa,P代謝に影響するという仮説を立て検証した.本研究は,「慢性腎臓病患者における腸内細菌叢に関する研究」(千葉大学大学院医学研究院倫理審査承認【承認番号:3140(2018-2021),M10475(2022-2024)】)の一項目として計画し実施した.対象はCKD stage5Dから糞便と血液検体を採取した.(株)明治製菓乳酸菌研究所との共同研究により糞便のメタ16s解析を行った. β多様性の検討では、患者群と健常対照群は有意に腸内細菌叢の組成が異なり,α多様性の検討では、菌種数を表す2指標(Observed features, Chao1)のみで患者群は有意に高値を示し,占有率の少ない少数菌の菌種の増加が考えられた.さらに群間比較解析(LefSe)や予測ゲノム解析(PICRUST)を追加し患者群の特徴を明らかにした.本研究では,患者背景,血液検査データ(透析前),使用薬剤,透析条件といった臨床情報と腸内細菌との関連を検討したが,Ca,P代謝に関わる複数のパラメータにおいて有意な相関を示したものはなかった.この理由は,腸内環境の変化は単一因子でなく複合的な要因であるためと推測された.今後,少数菌の増加を防げる優勢菌の移植により腸内Dysbiosisの進展を防ぐことができる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね順調に進展しており、得た研究結果については、2023年は日本腎臓学会、日本透析学会にて研究を報告した。2024年は日本透析学会での公募シンポジウムで公表を予定しており、また論文化にむけて準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、血液透析を行う慢性腎臓病(CKD)ステージ5を研究対象者としているが、今回得られた結果をもとにCKDステージ3-4および腹膜透析症例や腎移植前後の症例にも探索を拡大していくことを検討している。また,少数菌の増加を防げる優勢菌の移植により腸内Dysbiosisの進展を防ぐことができるか、について介入研究も視野に入れる。
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