研究課題/領域番号 |
22K16228
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
向井 清孝 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70739838)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 糖尿病性腎臓病 / 自律神経 / 迷走神経求心路 / 糖尿病 / マウス / ブドウ糖輸送担体 / 電気生理学 / 自室神経 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病性腎症の早期発見は、慢性腎不全を防御する上で非常に重要である。腎臓での炎症を防御するために免疫細胞が働くが、近年自律神経と免疫系が腎保護に有効であることが示唆されている。糖尿病は高血糖が続く為、研究代表者は、血糖上昇を感知する迷走神経求心路が起点になる可能性に着目した。本研究では、血糖上昇による「迷走神経求心路→脳→自律神経遠心路→免疫系」への新たな経路が腎保護に寄与する仕組みを明らかにした上で、糖尿病腎症発症にどのように関与するかについて解析する。
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研究実績の概要 |
糖尿病が原因となって腎機能が低下する糖尿病性腎臓病の発症予防は、透析患者の減少や患者のQOL維持の面からも重要な医学的・社会的課題である。腎疾患の発症・進展には、炎症・免疫細胞の関与が重要であるが、近年自律神経が免疫系細胞にも作用して腎保護に働くことも報告されている。しかしながら、その機序は不明である。本研究は内臓迷走神経が腎障害進展に関与する、との仮説を証明する計画である。昨年度は、野生型マウスと糖尿病マウスの自律神経応答を解析した。麻酔下で両マウスにおいて、ブドウ糖投与による内臓迷走神経活性化反応が観察されたことから、自律神経求心路ではなく、「脳→自律神経遠心路」での反応の相違が糖尿病腎症発症に関与する可能性が示された。 そこで本年度は、この可能性を確認するために、野生型マウスにおいてブドウ糖投与による脳・延髄孤束核の反応と遠心路交感神経反応を解析した。ブドウ糖胃内投与後90分では、延髄・孤束核のc-fos陽性細胞数が増えた。さらに、腎臓交感神経活動は上昇傾向があったが有意差はなく、褐色脂肪枝は有意に上昇した。逆に免疫細胞調節に寄与する交感神経遠心路脾臓枝は低下した。一方で、糖尿病腎症マウスでは、ブドウ糖胃内投与による腎臓枝と脾臓枝の交感神経活動反応が減弱していた。また糖尿病腎症マウスは、ブドウ糖投与前の血糖値が有意に上昇していた。これらの実験結果から、糖尿病腎症マウスでは、ブドウ糖投与による遠心路自律神経応答が減弱していることが明らかとなった。 今後は、糖尿病マウスの自律神経遠心路反応に変容があることが、どのような機序で腎障害進展に寄与するかの解析と、自律神経遠心路反応の変容機序に関する解析について、脳シグナル解析を中心に行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病腎症モデルマウスにおいて、ブドウ糖投与によって惹起される自律神経遠心路反応が減弱することがわかった。今後この自律神経応答低下が糖尿病腎症発症にどのように寄与するかの解析を行う研究戦略がたち、成果の見通しが得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病腎症モデルマウス(akitaマウス)での、迷走神経求心路応答を解析するとともに、自律神経遠心路と腎症発症との関係性を明確にする実験系を確立していく。具体的には、免疫細胞の解析や神経操作(化学物質処理、ウイルスベクターによる化学遺伝学法や光遺伝学法などの導入)を行う。
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