研究課題/領域番号 |
22K16242
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井山 拓治 鳥取大学, 医学部附属病院, 特命助教 (10899248)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 蛍光プローブ / 糖尿病性腎症 / 糖尿病合併CKD / 腎硬化症 / 糖尿病性腎臓病 / 尿 / 慢性腎臓病 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の高齢化を背景として、典型的な糖尿病性腎症と異なる経過を示す症例が増加している。糖尿病患者に発症する腎臓病は、正確な診断には腎生検を要する。尿検査で非侵襲的に鑑別が可能となれば、不要な腎生検を避けられるのに加え、検診での腎疾患の早期発見につながると期待される。これまでに、酵素活性を検出する蛍光プローブを用いた研究で、尿細管障害の程度と腎組織の蛍光性が関連することを発見している。このことから、酵素活性を利用した尿の蛍光診断が可能となるのではないかと仮説を立てた。本研究では尿中のγGTPやDPP4の酵素活性が糖尿病合併患者の腎臓病の鑑別診断マーカーになり得るか検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では尿検体に蛍光プローブを添付し、その反応性の違いを明らかにする。糖尿病性腎症(DN)と異なり、アルブミンを伴わない糖尿病関連疾患が増加してい る。このことを受け糖尿病性腎臓病(DKD)が提唱され、世界的に周知されてきている。一方で蛋白尿を伴わないDKDの場合、その他腎疾患との鑑別が困難なことがあり、腎生検を必要とする症例も少なくない。本研究では蛍光プローブを用いた尿検査でDKDや糖尿病合併CKDの違いを調べ、その要因を究明する。 我々が行ってきた迅速蛍光イメージング法の研究においては、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)活性下で蛍光を発する試薬を用いた。腎臓において は、GGTは近位尿細管に特異的に高発現しているが、近位尿細管障害を主体とする急性腎障害のモデルにおいて、尿中GGTが診断に有用であったと報告されている (Endre et al. Kidney Int 2011)。DKDでは慢性的に腎障害をきたすが、DKDにおける近位尿細管障害は病態の進行と大きく関わる。このような点から、尿を用 いた蛍光診断は従来の手法によらない新しい診断につながると考えられる。 今回、我々はDPP-hydroxymethyl rhodamine green(HMRG)およびGGT-HMRG反応後に、尿の蛍光が得られるかどうかを検討した。DPP-HMRGおよびGGT-HMRGとの反応により、顕著な蛍光を検出することができた。これまでに120名程度の患者の尿検体を分析した。DKD患者の尿は、腎硬化症/糸球体腎炎患者の尿に比べ、DPP-HMRGでの蛍光が強かった。さらに、GGT-HMRGでの蛍光は、糸球体腎炎患者よりも腎硬化症患者で強かった。 これらのことから、GGT-HMRGやDPP-HMRGを尿検査に使用することでDKD診断が行える可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者尿を用いた検討では、尿検体を100検体以上確保できており、症例の集積は問題なく行えている。またこれらの症例における尿検体での蛍光の強さの検討も 順次実行している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト尿の検体の集積、解析を進めていく。また蛍光プローブによる評価が行われた症例について追跡調査を行う。蛍光診断がDKDの鑑別に有用であることが確認 されたのち、蛍光強度とCKDステージの関連ならびに病期の進行に関連があるかどうかを縦断的に解析する。
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