研究課題/領域番号 |
22K16250
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
春原 浩太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20827034)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ポドサイト数 / ポドサイト容積 / 慢性腎臓病 / 腎硬化症 / 加齢 / 高血圧 |
研究開始時の研究の概要 |
腎硬化症は、高血圧および加齢を背景とする腎臓の表現型である。人口の高齢化に伴い今後さらに有病率が増加すると予想されている。しかし現時点において治療は降圧治療に限定され、特異的な治療法はない。これまでに申請者は、腎糸球体ポドサイト指標(ポドサイトの数や大きさ)に着目し、腎組織標本1断面でのポドサイト指標の推算法を確立した。本研究では、腎硬化症の病態解明を目的とし、1) ポドサイト指標は、腎硬化症の腎予後を予測するか、2) 高血圧・加齢は、ポドサイト指標にどのような影響を及ぼすか、3) ポドサイト指標への治療介入は、腎硬化症の発症・進展を抑制するか、について検討する。
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研究実績の概要 |
当初、腎生検診断により腎硬化症と診断された症例を対象としてポドサイト指標を定量化し長期腎予後との関連を検討する予定としていた。しかしながら、腎硬化症と診断されている症例にも、肥満・糖尿病・心疾患・悪性腫瘍など多様な合併症を含むことが明らかになり、これらのポドサイト指標へ及ぼす影響が無視できないものと考えられた。そこで、解析対象を1)明らかな腎疾患を有さない剖検腎、2)腎生検で肥満関連糸球体症と診断された症例、3)腎生検で腎硬化症と診断された症例と対象を拡大して検討を進める方針とした。1)の剖検腎では、充分量の検体が得られることから腎皮質表層、中間層、傍髄質層と腎臓の解剖学的位置の差異がポドサイト指標に及ぼす影響も解析可能であり、検体量が限られる腎生検におけるポドサイト指標の解釈にも重要と考え、最優先して着手とした。 50例の剖検例のポドサイト指標を定量化した結果、1)各種ポドサイト指標は、非硬化糸球体数(ネフロン数)と正相関したこと、2)各種ポドサイト指標の解剖学的な差異を検討したところ、糸球体あたりのポドサイト数は、腎臓の解剖学的位置によらずほぼ一定であること、3)加齢は腎皮質表層のポドサイト数減少に、高血圧は腎皮質深層のポドサイト数減少により強く関連することなどが明らかになり、英文誌に報告した。 一連のポドサイト指標の定量化に関する方法論、移植腎ドナー例および剖検例のポドサイト指標解析に関する研究成果により、日本腎臓学会Young Investigator Awardを受賞し、2023年6月日本腎臓学会総会にて受賞講演を行った。 動物実験では、マウス・ラット腎臓におけるポドサイト免疫染色法の最適化を行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
明らかな腎疾患を有さない剖検腎を対象としたポドサイト指標に関する臨床研究を英文誌に報告できたため。また、動物実験に関しては、実験環境の整備などに時間を要したが、今後予定している実験を進めることは可能であり、今後の進捗が見込まれる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体を用いた検討では、腎生検で肥満関連糸球体症および腎硬化症と診断された症例の双方をターゲットして、ポドサイト指標を定量化し、臨床病理学因子との横断的解析および長期腎予後との縦断的な解析を進める予定である。 動物実験では、現在着手しているマウス・ラット腎臓におけるポドサイト免疫染色法の最適化を完了する予定である。その後、高血圧モデル動物の腎臓を採取し、ポドサイト指標を定量化し、高血圧がポドサイト指標に及ぼす影響を検討する予定である。
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