研究課題/領域番号 |
22K16256
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
杉山 誉人 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD) (70930329)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ケラチン / 相分離 / 天然変性タンパク質 / タンパク質凝集 / 翻訳制御 / 相同組換え / 魚鱗癬 / RNA toxicity |
研究開始時の研究の概要 |
Ichthyosis With Confetti (IWC)は、先天性魚鱗癬の一種であるものの、加齢と共に部分的に遺伝子変異が修復されスポット状に自然治癒していく疾患である。現在、このような遺伝性疾患の治療法開発に向けて、非常に稀な自然治癒機構の理解や、極めて難治性である魚鱗癬の発症機序の解明が求められている。本研究では、IWCの原因となるKRT10の遺伝子変異に着目し、その変異ペプチドが細胞内で示す異常挙動とその分子基盤を解明する。これにより、魚鱗癬症状の治療に向けた新たな分子標的を同定、解析し、自然治癒現象を応用した広範な遺伝性疾患に対する全く新しい形の治療戦略の提案を目指す。
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研究成果の概要 |
ケラチン10遺伝子の変異による先天性魚鱗癬には、臨床像が大きく異なる表皮融解性魚鱗癬とIchthyosis with confetti (IWC)が知られている。さらに、IWCは極めて稀な自然治癒を伴う遺伝性疾患であるが、なぜ同一遺伝子の変異であるにも関わらず、変異の種類により発症する疾患が異なるのか、は明らかになっていない。本研究の結果、野生型ケラチン10のテイル領域は天然変性領域であり相分離を引き起こすが、IWC変異型ケラチン10はこれとは異なる構造体を形成することが明らかになった。IWC変異によりケラチンのテイル領域の物性や柔軟性が変化することにより、IWCを発症することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
遺伝性疾患には根治的治療法が存在しない、というのが現代の常識である。一方で、IWCという極めて珍しいタイプの魚鱗癬では、revertant mosaicismという現象により、遺伝子変異が自然に治癒することが知られている。このように、「ヒトが元来から備える能力によって、ゲノムを修正し、細胞が遺伝性疾患を治療する」という現象の分子基盤を理解することは、将来的な遺伝性疾患の新たな治療法開発に向けた基盤的研究になりうる。
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