研究課題/領域番号 |
22K16261
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 剛典 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20908884)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 毛孔性紅色粃糠疹 / Card14 / シングルセル解析 / IL-17 / IL-36 / IL-17 axis / IL-36 signaling / skin barrier / 自己炎症性角化症 |
研究開始時の研究の概要 |
1.毛孔性紅色粃糠疹V型患者で同定されたCARD14機能獲得変異と同変異を導入したモデルマウスの系を樹立する。 2.病変部皮膚を用いて、マイクロアレイ解析などから野生型との遺伝子発現差解析を行う。 3.2の結果を元に、鍵となる炎症経路や、関連が深いサイトカインを同定する。 4.3の結果を元に、生物学的製剤を含めた治療実験を行う。
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研究実績の概要 |
毛孔性紅色粃糠疹5型のモデルマウスである、Card14ノックインマウスの皮膚組織を用いてマイクロアレイ解析とシングルセル解析を行った。その結果、免疫細胞から分泌されるIL17、角化細胞から分泌されるIL36が、病態形成に強く関与する炎症性サイトカインであることがわかった。シングルセル解析では、主に表皮の顆粒細胞、真皮の繊維芽細胞、免疫細胞のTh17細胞において遺伝子の動きが大きく、これらが病態形成に特に関与する細胞集団であることがわかった。また、毛包内ケラチノサイトの1つである外毛根鞘細胞で、IL17の受容体であるIL17RAのタンパク発現が亢進しており、さらに外毛根鞘細胞では、角化亢進に関与するKrt16やPla2g2fの遺伝子発現が亢進していることもわかった。すなわち、本モデルマウスの病態形成において、Th17の分泌するIL17が、毛包内ケラチノサイトである外毛根鞘細胞に作用し、毛包内での角化を亢進させている可能性がある。毛孔性紅色粃糠疹の臨床症状の特徴の一つに毛包角化があり、この結果は毛包角化の形成メカニズムの一部を示していると考えられる。また、毛孔性紅色粃糠疹の類縁疾患である乾癬の患者や乾癬のモデルマウスでは通常発現が亢進している、S100タンパクのS100a7と、角化亢進を示すKrt17が、本モデルマウスにおいては上昇しないことが分かった。毛孔性紅色粃糠疹と乾癬は時に臨床症状が類似し鑑別が困難になるが、S100a7とKrt17の発現の違いが、両者を区別するマーカーとなる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね研究計画通りに進んでおり、研究結果の一部を論文化し、国際雑誌にアクセプトされた。
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今後の研究の推進方策 |
本モデルマウスに、抗IL-17抗体が有効であることは確認したが、抗IL-17抗体ははすでに乾癬においては臨床の現場で使用されている薬剤である。シングルセル解析結果などさらに分析し、これまでにない治療対象となり得るタンパクの同定を目指す。タンパクが同定できた場合は、それをモデルマウスに投与し、有効性を確認する。
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