研究課題/領域番号 |
22K16263
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
荻野 龍平 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (00816035)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 花粉-食物アレルギー症候群 / アレルギーモデル動物 / 花粉症 / 食物アレルギー / 感作経路 / PFAS |
研究開始時の研究の概要 |
花粉症患者が、花粉アレルゲンと似たアレルゲンを含む果物や野菜を食べることによりアレルギーを発症する、花粉-食物アレルギー症候群 (PFAS) の報告が増加している。しかし、PFASを発症する患者と花粉症のみを発症する患者の違いは明らかになっていない。この原因の一つとして、適切な動物モデルが存在していないことが挙げられる。 本研究ではPFASの病態解明を最終目標として、より臨床に近い、経皮 (皮膚の傷から) と経鼻 (鼻の粘膜から) の2つの経路からシラカバ花粉を投与し、シラカバ花粉-リンゴアレルギーモデルマウスを作製する。この研究の成果は、PFASを回避するための足掛かりになるものと予想する。
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研究実績の概要 |
2022年度はアレルギー反応を評価するためのマウスモデルの作製に向け、シラカバ花粉タンパク質 (BPE) の腹腔内投与により感作したマウスに対して、BPEまたはリンゴタンパク質を腹腔内投与した際の反応について検証した。 6週齢のBALB/cマウスに対してBPE 10 μgとImject Alum adjuvant 1 mgをリン酸緩衝液 200 μLに混合し、0、7、14日目に腹腔内投与した。さらに21、22、23日目に100 μgのBPEをマウスの鼻腔内に投与し、BPEへの感作を増強させた。負荷試験として、37日目にBPEまたはリンゴタンパク質 500 μgの腹腔内投与を行った。その結果、BPE負荷群では負荷30分後に平均0.9℃の直腸温低下が見られたが、リンゴタンパク質負荷群では平均0.1℃の低下に留まり、感作処置なしのマウスとの比較にて有意な直腸温低下は見られなかった。また、負荷60分後に採血した血漿におけるmMCP-1の濃度からマスト細胞の脱顆粒の程度を評価すると、感作処置なしのマウス (平均3.6 μg/mL) と比較してBPE負荷群 (67.0 μg/mL) では大きく増加したが、リンゴタンパク質負荷群 (7.6 μg/mL) ではわずかに増加傾向を示したのみであった。この結果からBPEの腹腔内投与により感作を行ったマウスでは、BPEの腹腔内負荷により体温低下のような全身性のアレルギー反応を惹起することが可能であるが、リンゴタンパク質の腹腔内負荷ではマスト細胞の脱顆粒がわずかに誘導される可能性があるものの、全身性のアレルギー反応は惹起されないことが示された。 花粉-食物アレルギー症候群のマウスモデル作製に向け、リンゴタンパク質投与によるアレルギー反応を適切に評価できる手法を探索する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、感作経路によりアレルギー症状や感作抗原に差が生じるかを検討するために、花粉の感作経路と考えられる経皮・経鼻といった投与経路によりシラカバ花粉への感作を行うことを計画している。しかし、これらの感作経路によるモデル作製にはアレルギー症状を評価する評価系の構築が不可欠である。そこで2022年度は確実に抗原への感作が生じる腹腔内への抗原投与によりシラカバアレルギーモデルを作製し、シラカバまたはリンゴを負荷した際のアレルギー症状を評価できるかを検証したため、当初の計画よりも遅れが生じている。 この検証の結果、マウスにおいてはメデトミジン・ミダゾラム・ブトルファノール3種混合麻酔による体温低下の影響が非常に大きいため、麻酔下での負荷試験は不適切であることが判明した。また、全身性の反応が出現しない場合には、エバンスブルーの血管外漏出を基に局所におけるアレルギー反応が評価できる可能性があることも確認できた。さらに、感作後の血漿を使用してシラカバ特異的IgE、IgG1、IgG2aの測定系の構築も行った。 2022年度の検証結果を基に、2023年は効果的に感作経路によるアレルギー症状の違いを評価し、本研究課題を遂行したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はシラカバ花粉の腹腔内感作によりリンゴに対するアレルギー反応が惹起されるかを再度検証し、その後は経鼻感作、経皮感作の順に実験を進めていく予定である。 研究遂行上の課題として、リンゴ抗原の安定性が低いことや、品種による抗原量の差が挙げられ、リンゴに対するアレルギー反応が惹起されなかった場合に感作方法に問題があるか、リンゴ抗原の調製法に問題があるかを現状では判別できないことが挙げられる。この問題に対する解決策としては、リンゴにおけるシラカバとの交差反応性抗原であることが知られるMal d 1のリコンビナントタンパク質を購入し、負荷試験に使用することが挙げられる。 また、花粉-食物アレルギー症候群であるシラカバ-リンゴアレルギーに加えて、他の交差反応による食物アレルギー (カビ-キノコアレルギー、クラゲ-納豆アレルギー) についてもモデル作製を行い、交差反応による食物アレルギーの病態解明に寄与したいと考えている。
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