研究課題
若手研究
我が国の皮膚科研究・開発を戦略的に推進する上で、公的資金を用いた研究費・研究プログラムの成果を継続的に把握し、様々な角度から評価することが必須となる。本研究ではレセプト情報等を用いてアトピー性皮膚炎等実態について層別化解析, 処方状況の抽出を行うとともに、各国のアレルギー対象研究事業のインパクト解析により皮膚・アレルギー領域の持続可能かつ多元的評価手法の開発を目的とする。
我が国の皮膚科研究・開発を戦略的に推進する上で、公的資金を用いた研究費・研究プログラムの成果を継続的に把握し、様々な角度から評価することが必須となるが、現状は一時的な疫学調査、有識者による個別のプロジェクト評価にとどまっている。本研究では、レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて行った疾患定義に基づき、我が国のレセプトデータを用いたアトピー性皮膚炎等実態について年齢・性別・地域・季節等による層別化解析, 生物学的製剤等の処方状況のpreliminaryな抽出を行った。特に、同疾患に対して初めて生物学的製剤が導入された2019年前後の比較検討を行い、医療経済学的検討を現在進めている。また、AMED, 米国NIH, 英国MRCのアレルギー対象研究事業のオープンデータをもとに、アレルギー領域の研究成果を助成額あたりのFurther funding (発展獲得研究費)、Publication (論文数)、Engagement activities (社会・広報活動)、Policy influence (政策・ガイドライン貢献) や特許数、研究成果の量、質、長期的な「厚み」(h5 index、トップ10%論文数) を適宜助成額あたりに換算して比較検討するとともに、我が国の10か年戦略が定めた12の戦略に関し自然言語・キーワード解析の手法を用いて、各国の研究成果の強み・弱み・可能性を明らかにした。本研究成果は、Allergy誌に査読付き論文として発表された。現在、複数の研究者がチームを構成する科研費基盤A、米国NIH R01、英国UKRIの皮膚・アレルギー領域の研究チームを決定し、研究者及び研究成果の情報を抽出した。現在、多様性を表す指標として、研究分野、研究者ベクトル、シャノン・ウェイナー指標などを候補として、研究チームの多様性と成果との関連について解析を進めている。
3: やや遅れている
研究チームの成果・多様性を検証するには、オープンデータを用いた幅広い情報収集が必須となるが、ヨーロッパ 一般データ保護法則 (GDPR) により、研究者の情報が一部制限されている。そのため、当初想定していた情報が十分に収集できず、データベース使用契約、及び契約に基づくデータ収集が必要となった。
GDPRによるデータ制限のため解析開始が遅れていたが、2022年度にデータ収集は完了したため、2023年度に遅れていた部分を含め解析を進める方針である。また、データ解析を専門とする米国ミネルバ大学のNorika Narimatsu氏を研究協力者に加え、研究インパクト解析の推進をサポートいただく。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Allergology International
巻: 71 号: 3 ページ: 354-361
10.1016/j.alit.2022.02.002
Allergy
巻: 77 号: 5 ページ: 1602-06
10.1111/all.15249