研究課題/領域番号 |
22K16270
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小原 宏哉 北里大学, 医学部, 講師 (40596483)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 毛包幹細胞 / ネスチン / 脊髄損傷 / ヒト / 他家移植 / 脳出血 / 神経 / 再生医療 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は毛包幹細胞を用いて再生医療に利用することを目標としている。毛包幹細胞は神経・心筋・皮膚などに分化することが証明されている。我々はその性質を利用して,特に脊髄損傷や脳出血といった非可逆的な障害を生ずる神経疾患に毛包幹細胞を移植することで機能・構造の回復を期待できるか検討する。具体的には毛包幹細胞の神経系への分化における最も効率的な培養方法の追求と、さらには脊髄損傷・脳出血のモデルマウスを作成した後、毛包幹細胞の投与経路や機能・構造の評価方法などの検討を進めていく。最終的に我々は、ヒトの損傷神経に対する毛包幹細胞自家移植を成功させることで神経再生医療の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
我々はこれまでにネスチン陽性毛包幹細胞を培養することで得られた細胞を、急性期・慢性期脊髄損傷モデルマウスに自家移植を行い、損傷脊髄の機能的・構造的改善を証明してきた(Obara, et al. Stem Cell Rev Rep. 2019;15:59-66. Obara, et al. PLoS One. 2022;17:e0262755.)。我々は現在ヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞から分離された細胞を、急性期脊髄損傷ヌードマウスに他科移植する実験を施行中である。この実験ではヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞を培養し、マウスに移植後4週間運動機能評価(BMS score、Open field test、footprint analysis)を行った。いずれも経過とともに、コントロール群と比較した結果、有意差をもって運動機能改善を証明することができた。また脊髄損傷部位の組織学的検討にて、移植したヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞は生着しており、宿主側の脊髄よりGABA分泌性ニューロンやグリア細胞の新生・増殖を促進していることがわかった。以上からヒト由来毛包幹細胞においても損傷脊髄の機能的・構造的改善を証明することができた。この結果については2024年4月にテキサスで行われた第13回世界毛髪研究学会においてポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞の脊髄損傷モデルヌードマウスに対する移植実験を行い、幹細胞移植による有効性を証明する良好な結果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後ヒト由来ネスチン陽性毛包幹細胞の脊髄損傷モデルヌードマウスに対する移植実験の結果を分析して論文化し、科学誌に投稿する予定である。また長期的な方針としては脊髄損傷患者において自己のネスチン陽性毛包幹細胞を毛髪から採取、分離し自家移植を行うことで治療効果を判定し、臨床応用を目指す。
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