研究課題/領域番号 |
22K16290
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
一桝 菜央 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00741208)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 乾皮症モデルマウス / IL31 / IL4/IL13 / かゆみ / アトピー性皮膚炎 |
研究開始時の研究の概要 |
第1に、2種の乾皮症モデルでのアロネーシス誘導が、抗体による好塩基球除去、好酸球除去、IL-33中和抗体による2型自然リンパ球除去、肥満細胞欠損マウスにおいて減弱するかを検討する。 第2に、掻痒を誘発するモデルにおいて、アロネーシスの有無を観察するとともに、IL-4/IL-13中和抗体が自発性掻痒を抑制するかを検討する。掻痒誘発モデルとして、IL-31の5日間連続投与モデル、未発症アトピー性皮膚炎モデル、接触過敏反応モデル、尋常性乾癬モデルを使用する。
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研究実績の概要 |
アトピー性皮膚炎や結節性痒疹などに伴う掻痒には、掻破行動を誘導するかゆみ (itch) と軽微な刺激で掻破行動が誘発されるアロネーシス (alloknesis) に大別される。 我々は2種のマウス乾皮症モデル(卵巣摘出マウス、人工的乾皮症もでる)を用いて、IL4/IL-13中和抗体がアロネーシスを抑制することを見出した。しかし、IL-4/IL-13は皮膚からは検出されず、また、これらのサイトカインの投与実験からも、ごく微量に存在するこれらのサイトカインがアロネーシスを誘導している可能性が高いと判断した。 また、IL-4/IL-13は他のかゆみ誘導因子の作用を増強するため、IL-4/IL-13の機能を阻害することでアロネーシスを阻止できた可能性を推測している。さらに、同じメカニズムは掻破行動を誘導するかゆみの抑制にも関与している可能性がある。 以上より、微量のIL4/IL-13はかゆみ刺激を全般的に活性化し、その機能阻害はかゆみを抑制すると仮定し、掻痒を誘発するモデルとしてIL31投与マウスを用い、IL-4/IL-13中和抗体が自発性掻痒を抑制するかを検討した。また、同モデルにおいて、アロネーシスの有無も観察した。乾皮症モデルマウスにおいても同様の実験を施行し、その効果を検証中である。 掻痒性疾患において、そのメカニズムは不明な点も多く、IL-4/IL-13の機能阻止がIL-31の掻痒誘導にどのように影響するかは明らかにされていない。これは実臨床での課題を解決する課題であり、意義のあるテーマと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IL31連続投与により自発的掻把が誘導されることを確認した。 まずはIL31投与マウスを掻痒を誘発するモデルとして用い、IL-4/IL-13中和抗体が自発性掻痒を抑制するかを検討しているが、中和抗体の作用を発揮するに至らず、濃度や投与時間、投与回数を変更しつつ研究を遂行中である。中和抗体やサイトカインが最も効果を発揮する時間を設定するために長時間連続して掻把行動を観察し、濃度に関しても多濃度で比較している。 また、IL31投与マウスにおいてアロネーシスも誘導されており、IL4/IL13中和抗体投与によりアロネーシスは抑制される傾向にある。再現性を得るため実験を継続していく。 痒みの実験に関して一回に測定できる個体数が限られていること、解析に時間がかかることより、進捗はやや遅れているが、解析ソフトの入ったPCを新規購入し、次年度は解析速度を上げて検証していく。
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今後の研究の推進方策 |
SCLABA-Nextを用いて解析時間を24時間に延長したことにより、中和抗体やサイトカインの効果発現時間、マウスの生活リズムによる日内変動の影響などより多くの情報を得られるようになった。この測定方法でIL31マウスにおける中和抗体の効果を確認後、同様の方法で痒み誘導因子、炎症モデルを用いて自発的掻把におけるIL4/IL13の役割を検証していく。同時に痒み誘導因子によるアロネーシスへの影響も引き続き検証してく。 また、アロネーシスに関与していると考えられる検出されないほど微量のIL4/IL13の供給源としての好酸球、好塩基球などの炎症細胞に由来するのか、血球除去マウスを用いて研究を推進していく。
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