研究課題/領域番号 |
22K16298
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小出 周平 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (10845126)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 加齢 / 老化 / 造血幹細胞 / シングルセル解析 / 造血器腫瘍 / 分子シャペロン / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、申請者がこれまでに同定した加齢造血幹細胞の機能低下の責任候補遺伝子である分子シャペロンClusterin (Clu)に着目し、その分子機序を明らかにすることで加齢に伴う造血幹細胞機能低下の原理を明らかにする。加えて、加齢関連疾患として知られる骨髄異形成症候モデルであるDNA脱メチル化酵素Tet2の機能不全マウスにおいて、Clu陽性造血幹細胞の働きを調べることで、その病態基盤の理解を試みる。これらの一連の目的を達成することで、造血幹細胞の加齢機序を理解し白血病を代表とする加齢関連疾患の克服を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は造血幹細胞の加齢を統合的に理解することで、造血器腫瘍発症リスク低減を目指した介入法の創出を目的とするものである。本年度は研究計画に基づき、申請者らが同定した新規老化マーカーであるCluのレポーターマウスを用いた造血幹細胞加齢機序の解析を行った。 Clu遺伝子領域にGFP配列を挿入したマウスを用いて、造血幹細胞におけるClu陽性割合を経時的に解析を行った。その結果、造血幹細胞分画におけるClu陽性率は2-6ヶ月齢までは1-2割程度であるのに対して、7-12ヶ月齢の間で指数関数的に増加し、18ヶ月齢では9割以上になることが明らかとなった。 続いて、18ヶ月齢の老齢マウスから回収したClu陽性とClu陰性造血幹細胞を用いて、移植実験から造血幹細胞活性を評価したところ、Clu陽性細胞は幹細胞活性が示さない機能不全型であることが明らかとなった。さらにClu陰性細胞は老齢マウスにおいても一定の造血幹細胞活性を示すことが明らかとなった。 次に、老齢マウスから回収したClu陽性とClu陰性の造血幹細胞を用いて、RNA-sequence解析とATAC-sequence解析から、トランスクリプトームと転写因子の解析を行った。その結果、老齢マウスにおけるClu陰性造血幹細胞は若齢造血幹細胞と類似性が高く幹細胞活性が高いことが明らかとなった。また、Clu陽性造血幹細胞はClu陰性造血幹細胞と比較して、炎症状態の活性化とミトコンドリア機能不全を示唆しており、このような状態異常が骨髄再構築の機能不全を導いていること考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、老齢マウスにおけるClu陽性率の検証とNGS解析による網羅的な遺伝子変動解析を予定していた。本年度では、当初の計画に加え、骨髄移植による造血幹細胞活性の定量的評価と共同研究による電子顕微鏡を用いた形態学的解析を行い、Clu陽性造血幹細胞の機能不全を示す結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、これまでの成果を論文として発表を行う。既に加齢研究において新規性の高い重要な成果が得られており、次年度は研究成果をまとめ発表することに注力する。
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