研究課題/領域番号 |
22K16320
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
越智 陽太郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (40883707)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 急性骨髄性白血病 / エピジェネティクス / コヒーシン / 白血病 |
研究開始時の研究の概要 |
急性骨髄性白血病は予後不良の造血器悪性腫瘍であり、分子病態の解明と有効な新規治療開発が急務である。白血病には、スプライシング因子やコヒーシンなどエピジェネティクス制御因子の遺伝子変異がしばしば認められるが、その意義については十分に明らかになっていない。本研究では、ゲノム編集とマルチオミクス解析を駆使し、エピジェネティクス制御因子の変異が引き起こす分子異常を詳細に解明することを目指す。CRISPR-Cas9システムを用いて白血病遺伝子変異モデルを樹立するほか、RNAシーケンスやChIPシーケンスなどのオミクス解析を統合的に実施することで、遺伝子変異がもたらす分子異常の深層ルールを紐解く。
|
研究成果の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)は難治性の造血器腫瘍であり、侵襲性の高い化学療法が標準治療として多く用いられるが、より腫瘍特異性の高い層別化治療の開発が望まれる。 本研究では、AMLのエピジェネティクス制御因子、特にコヒーシン遺伝子変異に対し、転写装置に対する標的治療が有効性を示す可能性について検証した。ゲノム編集でコヒーシンや共存遺伝子の変異を導入した白血病細胞株を樹立し、CDK阻害剤が変異細胞に特異的に有効であることを見出した。また、白血病マウスモデルでも変異特異的な有効性が示された。以上より、エピジェネティクス遺伝子変異に特異的な転写異常を標的とした層別化治療開発の道筋が示された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
白血病は患者間で極めて異なる臨床的・遺伝学的特徴を有するが、大部分の症例では画一的な化学療法や造血幹細胞移植が行われている。本研究ではエピジェネティクス制御因子の変異をもつ白血病細胞で特に転写異常が強く生じ得る点に注目し、変異陽性白血病が転写を阻害する薬剤に脆弱性を示すという仮説について検証を行った。遺伝子変異を導入した白血病細胞株を樹立し、培養実験およびマウスモデルにて転写を阻害するCDK阻害剤の薬効を測定したところ、変異陽性細胞は高い感受性を示した。以上より、白血病に高頻度に認められるエピジェネティクス遺伝子変異を標的とする層別化治療の開発が期待できるものと考えられた。
|