研究課題
若手研究
近年のゲノム解析の進展により、血液腫瘍・がんの発症・維持に関与する遺伝子異常が複数同定され、それらに対する分子標的薬が開発されてきた。しかし、腫瘍に多様なクローンが存在するために、一部のクローンを分子標的薬で駆逐しても治療抵抗性の他のクローンが増殖し、根治がしばしば困難である。それゆえ、今なお従来の化学療法が欠かせないものとなっている。したがって、本研究ではがん細胞と正常細胞の生存に必須な遺伝子を同定することで、重篤な有害事象を抑えながらも血液腫瘍を主とした多彩ながんに奏功する新規治療法の開発を目指す。
近年のゲノム解析の進展により、血液腫瘍・がんの発症・維持に関与する遺伝子異常が複数同定され、それらに対する分子標的薬が開発されてきた。しかし、腫瘍に多様なクローンが存在するために、一部のクローンを分子標的薬で駆逐しても治療抵抗性の他のクローンが増殖し、根治がしばしば困難である。それゆえ、 今なお従来の化学療法が欠かせないものとなっている。本研究ではがん細胞と正常細胞の生存に必須な遺伝子を同定することで、重篤な有害事象を抑えながらも 血液腫瘍を主とした多彩ながんに奏功する新規治療法の開発を目指している。Depmapより血液腫瘍細胞・がん細胞の生存に必須な907遺伝子を抽出し、その907遺伝子をノックアウトするために必要なsgRNAを設計した。そのsgRNAの設計に基づきレンチウイルスライブラリを作製した。このレンチウイルスライブラリと臍帯血のCD34+細胞を用いて、CRISPRスクリーニングを実施し、血液腫瘍細胞・がん細胞の生存には必須であるが、CD34+細胞の生存には必須ではない49遺伝子を同定した。この遺伝子群にはオルガネラのpH調節に関与する遺伝子が濃縮しており、この遺伝子群を標的とすることで正常の造血幹細胞への影響を小さく留め、がん細胞特異的に影響を及ぼすことができる可能性がある。一方、CD34+細胞の生存にも不利な11遺伝子を同定した。この遺伝子群にはProtein-RNA Complex assemblyやRNA splicingの遺伝子が濃縮していた。これらは、造血幹細胞移植前の前処置として標的にすることでレシピエントの白血病細胞を根絶するのに有用な可能性がある。今後、同定した遺伝子の検証を行い、有望な治療標的を見出したいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
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