研究課題/領域番号 |
22K16325
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
樋口 悠介 熊本大学, 病院, 助教 (80882141)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | HTLV-1 / HBZ |
研究開始時の研究の概要 |
HTLV-1がコードするHTLV-1 bZIP factor (HBZ)は、HTLV-1関連脊髄症などの慢性炎症性疾患や成人T細胞白血病 (ATL) の発症に重要である。先行研究では、ATL細胞ではHBZタンパク質は細胞質及び核に局在し、TGF-β刺激により核の局在が増加すること、急激に進行した急性型ATL患者由来の腫瘍細胞では核優位に存在していたことを見出した。本課題では、HBZの細胞内局在とその変動、結合タンパク質の制御機構を網羅的かつ詳細に解析し、HBZタンパク質の分子機能とATLの発症機序の解明、新規治療の開発に繋げる。
|
研究実績の概要 |
HBZ発現細胞におけるIL-10シグナル経路活性化の影響を調べるため、HBZトランスジェニック(HBZ-Tg)マウスとIL-10ノックアウト(IL-10 KO)マウスを交配し、表現型の観察を行った。当初、IL-10 KOマウスとHBZ-Tgマウスを交配することで、HBZ-Tgマウスにおける炎症が抑制されると考えたが、実際には腸炎の増悪や体重減少が見られた。この所見は、HBZがIL-10欠損による自己免疫性腸炎を増強することが示唆され、仮説とは異なる機序を検討する必要があると考えらえた。 細胞質内・核内におけるHBZ結合タンパク質の網羅的探索を行うため、ビオチンリガーゼ-HBZ融合タンパク質を発現するプラスミドを作成し、ビオチンリガーゼ付加HBZの安定発現細胞株を樹立した。また、Yeast two hybrid法によるスクリーニングにおいて同定されたJDP2について、免疫沈降においてHBZとJDP2が結合していることを確認した。更にJDP2についてはHBZトランスジェニックマウスやATLの症例においても発現が亢進していることを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HBZ-Tg/IL-10 KOマウスの表現型の解析により、HBZがIL-10欠損による炎症を増強することを示唆しており、これらの知見はATLの発症機序を知るうえで重要な知見になると考えられる。また、ビオチンリガーゼ付加HBZ安定発現細胞株を複数樹立しており、今後の解析につなげることができる。
|
今後の研究の推進方策 |
近接依存性標識法によるHBZ結合タンパク質の網羅的探索を行うため、細胞株は樹立できており、今後、質量分析を用いてHBZ結合たんぱく質のスクリーニングを行う。また、同定したHBZ結合タンパク質のATL細胞における役割を解析するため、同定タンパク質の細胞内局在や同定遺伝子のノックダウンにおける細胞形質の変化について解析を行う。 JDP2についてはATL症例におけるJDP2発現亢進の意義を解析するため、細胞株におけるJDP2のノックダウンによる細胞形質の変化やJDP2ノックアウトマウスの作成、HBZ-Tgマウスとの交配による表現型の解析を行う。
|