研究課題/領域番号 |
22K16330
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
大西 智子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60645589)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 播種性血管内凝固 / DIC / COVID-19 / 敗血症 / 血液腫瘍 / 凝固 / 線溶 / 凝固線溶波形解析 / CFWA |
研究開始時の研究の概要 |
播種性血管内凝固(以下、DIC)は、様々な基礎疾患を背景に著しい凝固亢進状態をきたすことにより、全身性細小血管内に微小血栓が多発して多臓器障害をきたす極めて致死率の高い重篤な凝固障害症である。DICを発症すると線溶系も活性化されるために出血症状も呈し、血栓症/出血症状の程度は、個々の凝固/線溶動態のバランスにより決定される。本研究では、敗血症だけでなく悪性腫瘍や大動脈瘤、産科疾患、さらに血栓症の合併が問題となっているCOVID-19感染症など、基礎疾患の幅を拡大し包括的ダイナミックス解析により凝固/線溶動態を解明する。個々の病態パターンに応じた新たなテーラーメード治療を確立する。
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研究実績の概要 |
DIC症例、COVID-19症例を集積し、凝固/線溶評価を行った。 DIC症例では敗血症性DICだけでなく、悪性腫瘍、大量出血に伴うDIC、及び分娩に関連したDICの症例を解析した。解析は、凝固線溶波形解析及びトロンビンプラスミン生成試験を用いて評価した。敗血症性DICでは線溶機能の著しい低下が特徴的で、凝固/線溶バランスは相対的に凝固に傾く症例が主体であった。血液腫瘍では線溶の著明な亢進が特徴的で相対的に線溶優位の状態であった。大量出血に伴うDICはバランスは保たれいているものの凝固/線溶機能ともに著明に低下していた。 COVID-19では患者160例(重症13例、中等症77例、軽症70例)を対象に、CFWAを用いて包括的な凝固・線溶機能を評価した。すべての重症度で凝固能(min1 ratio)で上昇し、凝固機能の亢進を示し、特に重症および中等症例で顕著であった[中央値1.61(重症), 1.61 (中等症), 1.27 (軽度)]。線溶機能である|FL-min1比もすべての重症度で上昇し、特に重症例と中等症例で線溶機能の亢進を示した[中央値1.40(重症)、1.37(中等)、1.18(軽症)]。全体として、重症例と中等症例は凝固機能優位の状態であったが、軽症例は両機能のバランスが取れていた。線溶が著しく低下する敗血症性DICとは大きく異なる結果であった。凝固線溶バランスを評価することで、治療選択に貢献できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DIC症例は敗血症の症例に偏ってはいるものの、概ね集積できている。 解析は予定通り行っている。
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今後の研究の推進方策 |
DIC、COVID-19症例の凝固/線溶バランスを経時的に評価し、治療効果がでているかの確認を行う。 また患者血漿に、抗凝固薬などの薬剤をin vitroに添加し、凝固/線溶バランスの是正を確認する。
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