研究課題/領域番号 |
22K16349
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
荒川 裕也 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教 (30733175)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Phf2 / 遺伝子欠損マウス / アトピー性皮膚炎 / CD4 T細胞 / エピジェネティクス / アレルギー / ヒストン修飾 / T細胞 / ノックアウトマウス / 免疫疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
T細胞は、生体防御に働く正の側面のほか、免疫疾患を引きおこす負の側面も持っており、身体の恒常性を維持するためにはT細胞における免疫制御が重要である。T細胞の免疫制御には、ヒストンへの化学的修飾などを介して遺伝子発現変化が生じるエピジェネティック調節が働いているが、その制御機構は明らかでない。そこで本研究では、T細胞のエピジェネティック調節異常による免疫疾患の解明を行う。具体的には、ヒストンH3K9脱メチル化酵素Phf2によるT細胞制御に焦点をあて、遺伝子欠損マウスモデルを用いた免疫疾患の解明を目的とする。本研究の成果により、新たな免疫疾患の発見や治療法の開発につながることが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では、ヒストンH3K9脱メチル化酵素Phf2に着目した研究を行っている。この酵素の遺伝子をT細胞特異的に欠損させたマウスを作製し、脾臓よりCD4 T細胞を分離した。このPhf2欠損CD4 T細胞を用いて2日間活性化培養を行った結果、野生型CD4 T細胞と比較してTh2細胞より産生されるIL4 mRNA発現の減少およびTh1細胞より産生されるIFN-γ mRNA発現の増加が認められた。一方、Th17細胞より産生されるIL-17 mRNAおよび細胞死抑制因子であるBcl-2 mRNAの発現には変化がみられなかった。これらの結果よりPhf2の欠損は、Th1分化の促進およびTh2分化の抑制を誘導し、Th17分化には影響しないことが示唆され、また細胞死にも影響しないことが示された。これらの成果を元に、アレルギー疾患の病態におけるPhf2の役割を明らかにするため、アトピー性皮膚炎モデルマウスを作製し、アレルゲンに対するアレルギー免疫反応の比較解析を進めた。具体的には、剃毛したマウスにアレルゲンとして卵白アルブミン(OVA)を1週間経皮感作させた後、2週間おいて再度1週間感作させる。この操作を繰り返し、3回目の感作終了後、血漿中のOVA特異的IgE濃度を測定した。その結果、野生型マウスと比較してPhf2欠損マウスにおける血漿中OVA特異的IgE濃度の減少を確認した。これらの結果より、Phf2欠損はTh2分化を抑制することによって、アレルギー免疫反応を抑制することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はPhf2遺伝子欠損マウスの作製および培養実験を行った。また、免疫疾患マウスモデルとして実験的自己免疫性脳脊髄炎モデル(EAE)マウスおよびアトピー性皮膚炎モデルマウスの作製を行った。EAEマウスの作製は現在進行中である。アトピー性皮膚炎モデルマウスは、感作に使用する抗原量の決定を行い、Phf2遺伝子欠損による病態への影響解析を行った。進捗状況として、おおむね当初の実験計画通りに進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、申請者の所属研究施設が変更したことから、動物実験を行うことができなくなった。そのため、計画していた実験内容を一部変更し、ヒトの臨床検体を用いた実験を行う。具体的には、まず、一卵性双生児ペアの白血球中RNA-seqデータより、Phf2遺伝子発現に関連して変動する遺伝子を明らかにする。また、一卵性双生児ペアのGWASデータより、Phf2遺伝子発現に影響するSNPを明らかにする。その後、自己免疫性甲状腺疾患(AITD)患者を病態ごとに分類し、Phf2遺伝子およびPhf2関連遺伝子の発現解析およびSNP解析によりPhf2のAITD病態への影響を明らかにする。
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