研究課題/領域番号 |
22K16361
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西出 真之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80812255)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 好中球 / 好酸球 / 血管炎 / 副鼻腔炎 / セマフォリン |
研究開始時の研究の概要 |
好中球・好酸球に代表される顆粒球はヒトの体内で圧倒的多数を占める白血球であり、免疫反応の最前線を担う細胞である。しかし、免疫異常を引き起こすような顆粒球の過剰な細胞死がどのように誘導されるのかは、十分に理解されていない。本研究は、免疫ガイダンス分子群の作用にフォーカスし、ANCA関連血管炎、好酸球性副鼻腔炎を標的疾患として1.免疫ガイダンス分子群が顆粒球の細胞死を誘導するシグナルメカニズムの解明、2.新規の血管炎モデルマウスの樹立と、ガイダンス因子を標的とした抗体治療、3.患者検体におけるガイダンス分子群の発現と臨床マーカーとの相関解析を行い、将来の免疫難病治療に向けた創薬に繋がる成果を目指す。
|
研究実績の概要 |
①免疫ガイダンス分子群が顆粒球の細胞死を誘導するシグナルメカニズムの解明:大阪大学研究倫理委員会で承認された研究計画に基づき、健常人ボランティアより磁気ビーズを用いた細胞分離法で好中球、好酸球を単離し、抗MPO抗体(MPO-ANCA)、好酸球に対してはIL-3.5およびPlatelet Activating Factor(PAF)の刺激を加え、生細胞に非透過性の色素を用いて細胞外トラップ形成死細胞を検出した。種々のセマフォリン分子、インテグリン分子を通常のマルチウェルプレートまたは非接着性ハイドロゲルプレートのいずれかに加え、細胞外トラップ形成の割合変化を算出することで特定のセマフォリン分子、およびβインテグリンが細胞外トラップ形成の割合に影響を与えることを見い出した。βインテグリンが接着を介してMPO-ANCAによる細胞外トラップ形成に寄与することについては論文報告を行った(Immunohorizons 2022)。 ②新規の血管炎モデルマウスの樹立と、ガイダンス因子を標的とした抗体治療:MPOに対するモノクローナル抗体を用いたMPO-ANCA関連血管炎モデルマウスの作成に再現性をもって成功した。 ③患者検体におけるガイダンス分子群の発現と臨床マーカーとの相関解析:血管炎患者の末梢血単核球をシングルセル解析に与する事で、免疫学的プロファイルに基づいたANCA関連血管炎の新たな疾患概念と個々の患者さんの予後予測を提案した(Manuscript Under Review)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初着目していたガイダンス分子を軸とした研究に加え、患者検体のシングルセル解析から実績に記したとおり非常に興味深い結果が得られ、想定以上に進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
①免疫ガイダンス分子群が顆粒球の細胞死を誘導するシグナルメカニズムの解明:特定のセマフォリン分子が細胞外トラップ形成の割合に影響を与えることを見い出しているので、動物モデル実験などで抗体治療効果などを検討する。 ②新規の血管炎モデルマウスの樹立と、ガイダンス因子を標的とした抗体治療:MPOに対するモノクローナル抗体を用いたMPO-ANCA関連血管炎モデルマウスの作成に再現性をもって成功し、このモデルマウスを軸として血管炎発症の分子的メカニズムに迫る。 ③患者検体におけるガイダンス分子群の発現と臨床マーカーとの相関解析:免疫学的プロファイルに基づいたANCA関連血管炎の新たな疾患概念と個々の患者さんの予後予測の論文が現在リバイス中であり、これを完成し研究成果として発表する予定である。
|