研究課題/領域番号 |
22K16373
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩永 直樹 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40912499)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 肺非結核性抗酸菌症 / 組織常在型リンパ球 / Th17 / type17 helper T-cells |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の増加や様々な免疫抑制療法の普及に伴い、肺非結核性抗酸菌症の罹患者数は経年的に増加の一途を辿っている。治療法は多剤併用療法が第一選択だが、年余にわたる長期治療を要することによる副作用の懸念や、治療終了後の再燃も多く、その新規治療法の開発は喫緊の課題である。 近年、肺組織常在型リンパ球が肺結核症に対しても強力な予防効果を発揮する報告が相次いでいおり、肺非結核性抗酸菌症への予防効果をマウスモデルで検討する。またその肺組織常在型リンパ球の活性化に必要な分子を、RNA sequenceで網羅的に解析する。本研究は肺非結核性抗酸菌症の新規治療開発におけるブレイクスルーの契機になることが期待される。
|
研究実績の概要 |
肺非結核性抗酸菌症の疾病負荷は経年的に増加傾向であり、難治例・治療終了後の再発例も多いことから、新規治療・予防法の開発は喫緊の課題である。近年の感染免疫学において、組織常在型リンパ球の強い免疫惹起能及び長期にわたる予防効果が脚光を浴びており、非結核性抗酸菌症における有用性を検証することを目的とする。Mycobacterium aviumの死菌を作成し、1週間間隔で皮下投与及び経気道投与それぞれでプライミング、ブースト投与を行い、更に2週間後に同菌で感染させた後、経時的に、肺内生菌数の経過等をナイーブマウスと比較した。感染2週間後の肺内生菌数を比較すると、ナイーブマウスや死菌の経皮投与群と比較して、経気道投与群で有意に肺内生菌数の減少傾向を認めた。肺内CD4 cellsの増多傾向、特に組織常在型リンパ球の肺内集族が認められた。同じ系の感染直前の肺内炎症細胞をflow cytometryで解析すると、有意な好中球数の減少及びマクロファージ数の増多、TNFαの発現上昇を認め、感染防御への関与が示唆された。肺結核症における組織常在型リンパ球関する既報では、type17ヘルパーT細胞の関与が報告されており、IL-22の病態関与が示唆されており、当該マウスモデルにIL-22による治療実験(経静脈投与、経腹腔投与、経気道投与)を施行し、検証中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
死菌を経気道投与することで、肺内特異的に組織常在型リンパ球やマクロファージが誘導され、TNFαの産生が誘導することが明らかになったが、そのメカニズムの検証を進めていく必要がある。当該マウスモデルにIL-22による治療実験(経静脈投与、経腹腔投与、経気道投与)をいくつかの条件下で検証中であり、時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
死菌ワクチン投与の効果を最大化するために、経気道投与群と経皮投与群の比較において、経時的な遺伝子変化を網羅的に検証する予定である。本法により組織常在型リンパ球の活性化維持に有用な遺伝子を同定し、その活性化維持を目的とした治療実験を検討する。また組織常在型リンパ球の養子免疫療法の効果について検証する予定である。
|