研究課題/領域番号 |
22K16378
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉藤 歩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70573286)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 糖尿病 / 慢性腎不全 / 尿路環境 / ウロモジュリン / SGLT2阻害剤 / 尿路感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病患者は尿路感染症が重症化しやすいことが知られているが、そのメカニズムは不明である。また、糖尿病治療薬として頻用されるSGLT2阻害薬は尿路性器感染症のリスクが上昇することが報告されている。糖尿病患者が罹患率が高く、重症化しやすい原因として、細胞性免疫や液性免疫の低下が指摘されているが、尿路環境がもつ感染防御機構についての報告はほとんど存在しない。そこで、糖尿病患者の尿路感染症への防御機構を尿路環境という視点から明らかにする。具体的には、糖尿病患者における尿の細菌叢および尿路感染症への防御機能をもつといわれるUromodulinに着目し、尿路感染症防御メカニズムについて多角的に検討する。
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研究実績の概要 |
糖尿病患者および慢性腎不全患者は免疫が低下しており、感染症に罹患しやすく、また、重症化しやすいことが知られている。特に糖尿病患者では、アルブミン尿や神経因性膀胱により無症候性細菌尿の割合が高く、尿路感染症に罹患率しやすく、重症化し、命を落とすケースも少なくない。これまで、その原因としては、詳細な不明なところが多いが、好中球の機能が低下すること、免疫が低下することが原因と考えられてきた。ただ、これだけでは、これらの患者における重症化のメカニズムは疑問が多い。そこで、我々は、尿の尿路環境が影響しているのではないかという仮説に基づき研究を開始することとした。これまで無菌と思われてきた尿に細菌叢が存在し、その変化が、糖尿病や慢性腎不全患者の重症化と結びついている可能性を考えた。尿中には様々な抗菌ペプチドやウロモジュリンと呼ばれる物質が存在しており、その解析を進めている。特に、ウロモジュリンは尿中に最も多く含まれる蛋白であり、尿路感染症を防御する役割を担っていることと考えられている。研究責任者が留学先でおこなってきたウロモジュリンの研究の成果は、昨年、アメリカ腎臓学会誌(J Am Soc Nephrol. 2022 Mar;33(3):511-529.) に発表された。2022年度は、患者から臨床検体を提供頂くための仕組み作りをおこない、各病院の協力をえて、検体を集めるためのシステムを構築することが出来た。また、予備実験においては、海外を含む様々な研究機関と議論を進め、測定系を確立させ、尿のは細菌叢が存在することを検証することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前所属機関にて、本研究の実施にあたり、対象群となる患者、糖尿病患者および慢性腎不全患者から臨床検体をえるため、臨床研究倫理審査委員会の承認を得た。新型コロナウイルス感染症の流行により、臨床業務多忙にて、研究の遂行は遅れることとなった。また、2022年秋より現在の所属機関に移動となった。そのため、研究環境を整えるのに時間を要した。前所属機関および現在の所属機関、両方からの検体を提供してもらうための準備は整い、患者検体を解析する前の予備実験を開始することが出来た。現在は研究はややおくれている状況であるが、予備実験も進んでおり、夏頃より目標としている臨床検体の解析を早急に進めることを目指す。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施した尿路環境に関する予備実験を夏頃までに終了させ、患者から提供頂く尿の解析に移る。またさらに、研究内容を充実させるため、研究責任者が共同研究を進めているチューリヒ大学において確立している研究手法を取得するため、短期間、訪問し、日本で実施できる体制を構築する。来年度中には、対象群、糖尿病患者群、慢性腎不全群の尿をもちいた尿路環境の解析を終了させる。そして、SGLT2阻害剤投与前後で、尿中に糖が増加した際に与える影響について、解析を終了させる予定である。その結果をもとに、細胞実験も開始し、臨床検体をもちいた研究で得られた結果について、そのメカニズムの解析を進めていきたい。
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