研究課題/領域番号 |
22K16380
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
奥野 未来 久留米大学, 医学部, 助教 (30814462)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 口腔レンサ球菌 / 全ゲノムシークエンス / NGS / ゲノム比較解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、感染性心内膜炎 (Infective endocarditis; IE) の主要な起因菌の一つである、口腔レンサ球菌に着目し、IE発症に関わる遺伝的因子および感染メカニズムの解明を試みる。IEは、細菌が心臓の内腔を覆う心内膜の表面または弁膜に感染して感染巣を形成することで起こるが、発症に関わる病原因子は明確になっていない。本研究では、IE起因菌と口腔内常在菌との全ゲノム比較解析を実施し、IE起因菌の遺伝的特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
感染性心内膜炎(Infective endocarditis; IE) は、細菌が心臓の内腔を覆う心内膜の表面または弁膜に感染して感染巣を形成することで起こる。IEの感染経路の一つとして口腔内常在細菌の血液への侵入が考えられているが、どのような口腔内常在菌がIE発症ポテンシャルを有しているのか不明である。また、IE発症に関わる病原因子も明確になっていない。本研究は、IEの主要な起因菌の一つであるStreptococcusに焦点を当て、IE発症に関わる病原因子候補を探索するために、IE起因菌の全ゲノムシークエンスデータを用いた比較ゲノム解析に取り組んだ。 感染性心内膜炎患者の血液培養サンプルから分離されたS. gordonii 24株, S. mutans 20株、ヒト口腔内から分離されたS. gordonii 14株, S. mutans 8株を収集し、ショートリードによる全ゲノムシークエンスを実施した。また、公開データベースから健常な日本人の口腔内から分離されたS. mutans 約70株の全ゲノムシークエンスデータを取得した。ドラフトゲノムの構築、遺伝子予測を実施し、core-geneによる系統解析を実施した結果、口腔内常在菌とIE起因菌に系統的な偏りは見られなかった。また、IE起因菌に偏在する遺伝子は確認されなかったため、現在、公開データの追加作業と遺伝子のvariant解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IEの起因菌として、レンサ球菌の中でも多様な菌種が分離されるため、同一種の菌株の収集が難しいと予想されたが、S. gordonii, S. mutansの感染性心内膜炎起因菌および口腔内由来株の収集とシークエンスをすることができた。また、比較対象となる口腔内由来の菌株に関しては、健常な日本人由来のS. mutans 約70株を公開データベースから収集することができたため、同一菌種内で日本人のIE起因菌と口腔内常在菌の大規模な比較ゲノム解析が実施可能なデータセットを用意することができた。
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今後の研究の推進方策 |
IE起因菌と口腔内常在菌で偏在する遺伝子の探索だけでなく、variantにも着目して両者の遺伝的な違いを明らかにする。また、一部の菌株についてはOxford Nanoporeデータを追加し、完全ゲノムを決定し、より詳細な比較解析を実施する。
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