研究課題/領域番号 |
22K16381
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
宮原 敏 産業医科大学, 医学部, 助教 (50878329)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | レプトスピラ症 / 肝臓スフェロイド / 黄疸 / 病原因子 |
研究開始時の研究の概要 |
レプトスピラ属細菌感染症のうち、黄疸型レプトスピラ症の予後は依然として悪く、不明な点の多い感染病態を解明することで、診断法、治療戦略の改良につなげることが求められる。我々はこれまでに、肝臓に到達したレプトスピラにより肝細胞結合が剥がされるというユニークな病態で黄疸が起こることを報告した。 本研究では、これまでの研究を発展させ、ヒト肝臓スフェロイドにレプトスピラを感染させるモデルを新たに確立し、①菌体の細胞への付着、②菌体の細胞間への侵入、③肝細胞結合の離開の現象に関与する、宿主細胞側、病原体側の因子および機序を明らかにする。そこから、新規の診断法や治療薬開発に実用化可能なシーズを探索する。
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研究実績の概要 |
黄疸型レプトスピラ症の予後は悪く、感染病態を解明することで、診断法、治療戦略の改良につなげることが求められる。我々はこれまでに、肝臓に到達したレプトスピラにより肝細胞結合が剥がされるというユニークな病態で黄疸が起こることを報告した。本研究では、これまでの研究を発展させ、in vivoに近い宿主-病原体相互作用を再現できるヒト肝臓スフェロイドにレプトスピラを感染させるモデルを新たに確立し、菌体の細胞への付着、侵入、肝細胞結合の離開の現象に関与する、宿主細胞側、病原体側の因子および機序を明らかにすることを目指す。 初年度は、比較的安価なラット初代肝細胞を用いて、肝細胞スフェロイドの培養環境、手技を既報に従って確立した。さらに、感染実験での解析に使用するレプトスピラ16S rRNA遺伝子の定量、免疫蛍光染色、肝細胞mRNAの定量、培養上清中の分泌因子に対するELISA等の手法を決定した。また、既知の疾患モデルであるハムスターを使用して、病原性レプトスピラL495株感染後の肝臓における病理組織学的解析を行い、各種mRNA発現量を定量PCRで測定した。これにより動物感染モデルとスフェロイド感染モデルを比較し、妥当性を検討する上で必要な基礎的データを得ることができた。 初年度の成果に基づいて、今後、ヒト初代肝細胞を用いてスフェロイドを作成し、レプトスピラ感染モデルとしての妥当性を検討し、感染メカニズムの解明に使用していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた細胞を購入することができず、進捗はやや遅れている。ヒト初代肝細胞は、海外メーカーのものを購入する予定であったが、国際情勢の悪化、輸送費の増加、円安、物価上昇等が相まって、当初予定していた購入額よりも高額となることが見込まれた。そのため、初年度は国内在庫があり、比較的安価に入手可能なラット初代肝細胞を使用することとなったが、必要な培養方法や解析手法の確立は十分すすめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ラット肝細胞で確立した手技を応用して、ヒト初代肝細胞を用いてスフェロイドを作成する。また、病原性レプトスピラL495株を感染させたスフェロイドを形態学的、生化学的に解析し、疾患モデルとしての妥当性を検証する。さらに菌体の肝細胞への接着、侵入に必要な因子、細胞結合の離開に関わる分子メカニズムについて解析をすすめる。
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