研究課題/領域番号 |
22K16382
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
深野 華子 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (40807541)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 非結核性抗酸菌症 / 肺MAC症 / 病原性 / 病原性因子 |
研究開始時の研究の概要 |
世界的に非結核性抗酸菌(NTM)症の患者数が増加傾向にあり、本邦においても国内の肺NTM症罹患率は結核の罹患率を上回っており今後も患者数の増加が見込まれる新興感染症である。本邦の肺NTM症のうち9割を占める肺MAC症だが、菌が分離された患者のうち臨床的意義との関連が認められる症例の割合は5-6割程度である。つまり、肺MAC症患者のうち4割以上では患者から菌が分離されているにも関わらず、臨床的意義が伴わない。本研究では、肺MAC症の株ごとの病原性の違いを菌ゲノム・表現型と患者臨床情報との関連解析により探索する。
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研究実績の概要 |
本研究においては、国内において患者数が著しい増加傾向にある肺MAC症について、菌側因子に焦点を当て、病態の進行に関わる病原性因子の探索を目的としている。 今年度においては、肺MAC症発症患者および症状のない患者から分離された臨床分離株約200 株についてのショートリードシーケンスデータの取得を終了している。更にそれらを使用した予備的なゲノム解析の結果、肺MAC症原因菌として分類される菌種の中でも希少な菌種また亜種が分離されていることを見出している。また、それらの菌株の病原性評価の表現型解析試験としてマクロファージ内への侵入効率・細胞内での増殖能を定量的に解析するため、プラスミド上に蛍光タンパク質(YFP)を発現させた標準株を使って、ハイコンテントイメージングシステムとマシンラーニングを使用した細胞内菌量の定量評価システムの構築に成功した。また同様の手法を使いながら、菌体特異的脂質成分に対する抗体染色により、蛍光タンパクを発現しない臨床分離株を使用した定量解析にも成功している。この手法の確立により、臨床分離株を使ったハイスループットな解析が可能となった。更には、細胞内菌数の変化だけでなく細胞数の現象をイメージングシステムにより定量評価できる評価系を構築中である。これにより、株間による細胞障害性の違いを見出すことが可能となる。また、標準株を使用した抗菌薬スクリーニングの評価系を確立中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノムデータ取得が順調に進んでおり、且つ表現型評価系が早期に確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、得られたシーケンスデータを元にゲノム解析を実施する。また、ゲノム解析に供した臨床分離菌株については構築した表現型評価手法を用いて、細胞内での発育能や細胞障害性の評価を実施していく予定であるが、これらの表現型評価手法に関しては、感染時間や感染度等さらに細かな条件検討が必要であると考えている。表現型に関し、病原性が高いと思われる菌株に関してはロングリードシーケンサーによるデータ取得を行う。また、抗菌薬スクリーニングに関しては、in vitroだけではなく細胞内寄生状態における抗菌活性評価手法構築とハイスループット化を行う予定である。
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