研究課題/領域番号 |
22K16394
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山内 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (20844715)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 甲状腺機能亢進症 / ペンドリン / トランスクリプトーム / ヨード / TSH / バセドウ病 / トランスポーター |
研究開始時の研究の概要 |
バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進症の治療は、数十年来変化がなく、副作用や治療抵抗性といった問題を抱えている。我々は独自に開発した甲状腺機能亢進症モデルマウスに対してトランスクリプトーム解析を実施し、甲状腺濾胞内にヨードを輸送するペンドリンを治療標的候補として着目するに至った。本研究では、ペンドリンを阻害することにより甲状腺機能亢進症を治療しえるか、ノックアウトマウスを用いて検証する。さらには、既存の治療薬を投与することによりペンドリンと他の作用点の同時阻害も行う。以上により、甲状腺機能亢進症の治療におけるペンドリンの位置づけを明確にすることを目的とした研究である。
|
研究実績の概要 |
バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進症は頻度の高い疾患であるが、治療は抗甲状腺薬に代表される薬物療法を中心として数十年にわたり大きな変化がない。さらにはこの第一選択となっている抗甲状腺薬ですら、無顆粒球症などの重篤な副作用や治療抵抗性といった多くの問題を抱えている。 我々は新規治療開発を目指し、TSH過剰発現による甲状腺機能亢進症モデルマウスを独自に開発し、研究基盤の構築を行ってきた。先行研究において、甲状腺機能亢進症モデルマウスの甲状腺を回収しトランスクリプトーム解析を行ったところ、甲状腺濾胞内にヨードを輸送するペンドリンの特異的発現亢進が見出された。本研究課題では、甲状腺機能亢進症の病態におけるペンドリンの意義を解明し、ペンドリン阻害に基づく同症の治療が可能か検証することを目的としている。 上記の仮説をペンドリンノックアウトマウス(以下KOマウス)に対するTSH過剰発現実験を行い検証する。つまり、遺伝子ノックアウトによりペンドリン蛋白の発現量が増加し得ない生体環境においては、TSH過剰発現により惹起される甲状腺機能亢進症が減弱するという作業仮説を立てた。 現在までの進捗として、KOマウスを入手、繁殖し、野生型、ヘテロKO、ホモKOのいずれにもTSH過剰発現処置を行った。しかし、我々の他のマウスに対する経験よりもTSH過剰発現の程度が弱く、バックグラウンドの違いによる可能性を疑った。その後C57BL/6Nバックグラウンドへとバッククロスを完了し、改めてTSH過剰発現処置を実施した。現在、血清、甲状腺を回収し、甲状腺機能測定、遺伝子発現評価、組織学的解析を進めている。 以上のように、ヨード輸送を中心とした甲状腺生理学を発展させるだけでなく、甲状腺機能亢進症の新規治療創出をも目指し、研究を推進している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ペンドリンノックアウトマウスに対するTSH過剰発現実験を2023年度までにかけて完了する計画であったが、2022年度末において既に投与実験を終えており、回収したサンプルの解析を進めている。すなわち、当初に設定したタイムラインよりも早く完了する目途が立っている。
|
今後の研究の推進方策 |
ペンドリンノックアウトマウスに対するTSH過剰発現実験において、甲状腺機能亢進の誘導が減弱する、すなわちペンドリンが治療標的となる可能性が示されれば、抗甲状腺薬や無機ヨードなど既存の治療薬の併用実験、ペンドリン阻害化合物の投与実験など、治療応用に向けた検証を進める予定である。
|