配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究実績の概要 |
マウスの胎生後期(16.5日)β細胞のシングルセル・トランスクリプトーム解析によって、分化早期β細胞が脂肪酸代謝関連遺伝子(Abcd3, Crot, Hadh, Acly, Mlxipl)を高発現している時期があることを見出した。なかでもMlxiplはChREBPをコードする遺伝子であり、ChREBPは解糖系・脂質生合成(de novo lipogenesis)系酵素遺伝子の発現を誘導することで、糖質から脂肪への変換を促進する糖応答性転写因子であることが知られている。そこで、シングルセル解析結果を解糖系、脂質合成系に着目し、さらに詳細に解析した。擬時間解析の結果、β細胞の分化に伴い、解糖系酵素Gck, Pfkm, Ldha, Ldhbの遺伝子発現は不変または低下している一方で、脂肪合成酵素であるMlxipl, Srebf1, Acly, Acaca, Mcat, Fasnの遺伝子発現は増加していることが明らかになった。このことから、β細胞分化が進むにつれ、ChREBPの発現上昇を中心とした脂質合成経路が活性化することが示唆された。 次に、ヒト細胞でのβ細胞分化・成熟過程における脂質代謝変化についてヒトiPS細胞を用いて検討した。分化22日のヒトiPS細胞由来β細胞において、MLXIPLをはじめとした脂質合成関連遺伝子の発現上昇が認められた。さらに細胞内脂肪合成後の結果である脂肪滴もβ細胞分化に伴った増加が観察され、合わせて脂肪滴形成に必要な遺伝子PLIN2も分化段階に合わせた発現上昇が認められた。以上から、マウスのみならずヒト細胞でも同様にβ細胞分化・成熟過程における脂質合成の重要性が明らかとなった。 現在、炎症性サイトカイン等を用いた妊娠糖尿病の培養皿上での再現に関する検討、小分子などを用いた脂質代謝経路への介入によるヒトiPS細胞由来β細胞分化誘導効率の改善を目指している。
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