研究課題/領域番号 |
22K16402
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
青山 周平 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (90910563)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | オートファジー / 膵β細胞 / 膵島 / 糖代謝異常 / 不均一性 / 透明化 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、膵島のオートファジー活性に注目し、同一個体内においても膵島間・膵島内で膵β細胞の不均一性が存在することを明らかにしたが、その病態生理学的意義は未解明である。本研究では、申請者らが開発したオートファジー活性モニターマウスに透明化技術を組み合わせることで膵島間でのオートファジー不均一性が持つ病態生理学的意義の解明を目指す。透明化した膵臓を対象に膵島構造の三次元的解析によるオートファジーの定量的評価の確立および糖尿病モデルマウスでの検討により、耐糖能異常における不均一性の意義を明らかにする。これらの知見に基づき、糖尿病診療における診断・治療的意義の確立を目標とする。
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研究実績の概要 |
当初の計画通り、まず初めに固定した膵臓の透明化およびライトシート顕微鏡による観察手法の確立を行った。マウスをPFA固定した後に膵臓を摘出し、既に市販されているCUBICを使用し膵臓の透明化を行った。透明化の途中過程でPropidium iodide染色によって核を染色し、ライトシート顕微鏡で観察したところ、想定通り594nmの波長で膵島や膵管といった膵内構造が観察可能であった。次にオートファジー活性モニターマウスである、pHluorin-LC3-mCherryマウスを用いて同様の検討を行った。Propidium iodide染色では、mCherryの蛍光波長と重なるため、Red-dot2を用いて核染色を行った。しかし、mCherryの傾向波長である594nmによる観察時に核染色の漏れ込みを認めた。当施設のライトシート顕微鏡では、核染色に汎用されているDAPIの波長が装備されていないため、核染色は行わず、pHluorin-LC3-mCherryのみの自家蛍光を観察した。mCherryの蛍光強度は透明化におけるpHの変化後もライトシート顕微鏡によって観察可能であったのに対し、pH感受性の高いpHluorinは透明化の過程によって蛍光強度が著しく減弱していた。しかし我々の作成したマウスは、pHluorinとmCherryの蛍光強度比をとることによりオートファジー活性を評価可能であるため、典型的なオートファジー刺激である飢餓条件下での変化をライトシート顕微鏡で撮影し、Image-Jを用いて定量評価した。24時間飢餓刺激を行ったマウスの膵臓では、コントロールと比較してpHluorin/mCherry比の低下を認めたことから、本マウスにおける透明化による膵臓全体のオートファジー活性の評価は可能と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画では、2022年度中に市販のCUBICを用いた臓器の透明化を行い、その手技を確立することを目指していた。上記に記載した通り、PFA固定を行ったマウスの膵臓は、市販されている2種類のCUBIC溶液を用いて透明化が可能であった。複数回、同一条件下において透明化を行ったところ、再現性をもって透明化させ、ライトシート顕微鏡による観察において想定範囲内の画像も取得できた事から、膵臓の透明化手技は確立されたと考えている。一方で当施設で使用可能なライトシート顕微鏡では、一般的に使用されている核染色であるDAPIを観察可能なレーザーを搭載していないことから、本実験で使用するオートファジー活性モニターマウスの蛍光波長と重複しない核染色方法はまだ確立できていない。また、オートファジー活性モニターマウスに使用されているpHluorinのpH感受性が高いことから、透明化の過程によって蛍光が減弱しており、mCherryとの比率によってオートファジー活性は評価できるものの、今後は蛍光の増幅方法を模索する必要があるかもしれない。上記を勘案して、進捗状況はおおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究によって、我々が作成したオートファジー活性モニターマウスを透明化し、膵臓全体のオートファジー活性を評価する方法は一定程度、確立したと考えている。今後は当初の計画通り、様々な糖代謝環境における個々の膵島内オートファジー活性の変化を評価する予定である。具体的には、インスリン受容体拮抗薬の投与や高脂肪食負荷によりインスリン抵抗性を増大させた際の変化を観察する。以前我々が行った検討では、インスリン抵抗性条件下では、同一膵島内における個々の膵β細胞のオートファジー活性が不均一化する現象がみられたことから、同様の現象が個々の膵島においても認められるかを念頭に評価を行っていく。また膵臓の透明化および核染色によって、膵島と膵管の位置関係を把握することが可能であったことから、オートファジー活性モニターマウスの組織特異的抗原に対する染色により、膵管と膵島、血管と膵島といった膵臓内における膵島の分布とオートファジー活性の関係性も評価したいと考えている。
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