研究課題/領域番号 |
22K16404
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
渋江 公尊 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 内分泌・代謝・腎臓研究部, 研究員 (00773631)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | グルカゴン / 膵α細胞 / インスリンシグナル / オートファジー |
研究開始時の研究の概要 |
蛍光レポーターを搭載したα細胞特異的IRS1欠損マウスより回収したα細胞、ヒト糖尿病患者α細胞のRNAシークエンスデータを比較検討しIRS1下流でグルカゴン制御に関わるオートファジー関連遺伝子群を同定する。さらにグルカゴン分泌異常をきたす糖尿病患者群の末梢血白血球total RNAを用いて、マイクロRNAアレイと環状RNAアレイを行なう。特にオートファジーと関連したIRE型環状RNAを検討し、α細胞のオートファジーの程度と末梢血IRE型環状RNAの発現を比較解析することにより同定したオートファジー関連遺伝子のバイオマーカーとしての応用可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
糖尿病患者における血糖応答性グルカゴン反応障害の機構についてのこれまでの研究は、グルカゴン分泌をパラクラインに調節しているインスリンやソマトスタチンの変化、自律神経調節の障害などいずれも細胞外の調節因子に注目したものが多かったが、近年ではα細胞内調節機構が電気生理学的手法や、マウスモデルを用いた検討によって明らかにされつつある。 本研究では、糖尿病患者にみられるグルカゴン分泌異常メカニズムの一つとして近傍に位置する膵β細胞からのインスリンシグナルが1型及び進行した2型糖尿病患者において減弱ないし消失していることを踏まえ、膵α細胞におけるインスリンシグナルを介したオートファジー機構を研究することにより、糖尿病患者におけるグルカゴン分泌異常に対する治療的アプローチを提供することを長期的目標としている。今回の研究課題において、申請者はインスリンシグナルを介した経路のうち、特にオートファジーを介する経路に着目し、膵α細胞においてインスリンシグナルを介したオートファジー遺伝子群の同定と、それら遺伝子群の1型糖尿病および進行した2型糖尿病における臨床的意義について考察することを目標としている。2022年度は、CRISPR/Cas9によりαTC6細胞から作成したオートファジー欠損細胞を用いて、インスリンシグナルに関わる経路の解析や、オートファジー誘導下での変化などについて検討した。 2023年度に、共著者として分泌実験、遺伝子解析を申請者が分担した、単離ヒトα細胞の遺伝子発現および論文が受理された(業績欄に記載)。同論文で得られたヒトα細胞の解析データからオートファジー 関連の遺伝子抽出を現在行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1) レポーターマウスからの膵α細胞単離については、一定数の細胞の回収を終えているが、収穫細胞量が少ないこともあり、細胞株の実験および1型糖尿病膵島を用いた解析を優先させて研究をまとめる方針に変更した。 2)1型糖尿病膵島のRNAシークエンス解析は終了している。 3)オートファジー調節に関連する薬剤の負荷後のRNAシークエンスは終了した。
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今後の研究の推進方策 |
1)1型糖尿病膵島のRNAシークエンスデータからオートファジー関連遺伝子を抽出し、インスリンシグナルとの関連を解析する。 2)Atg7欠損マウスの膵島の免疫染色による解析により、インスリンシグナル、オートファジー と関連のある経路に着目し、同経路を調節する薬剤の負荷後のRNAシークエンスを提出した。 3)申請者はインスリンシグナル欠損α細胞株やインスリンシグナル欠損マウスモデルにおける膵島におけるオートファジーの機構を主たる解析対象として検討しているが、並行してオートファジー欠損細胞株及びマウスモデルにおけるインスリンシグナルを介したグルカゴン分泌経路についてもモデルを作成し、検討を開始している。これら両モデルを用いた検討により、研究課題の核心をなす学術的問いである「糖尿病患者のα細胞におけるグルカゴン分泌異常のメカニズムは何か」という題目において、α細胞障害の分子メカニズムの理解の一端を開くことができると考えている。
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