研究課題/領域番号 |
22K16405
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
浅利 ゆう子 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (40876942)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | クッシング症候群 / アルプラゾラム / デキサメサゾン / 負荷試験 / 偽性クッシング症候群 / ACTH / コルチゾール |
研究開始時の研究の概要 |
「クッシング病」は下垂体腺腫から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が自律的に産生される腫瘍性疾患であり、「偽性クッシング症候群」は、アルコール多飲やうつ状態、ストレス、不眠症、高度肥満などを背景に「非腫瘍性に高ACTH血症を呈する病態」である。両者の鑑別方法は確立されていない。 下垂体にはGABA受容体が発現しており、GABA受容体に作用するBZDがACTH分泌経路を抑制する可能性が示唆されている。本研究の目的はBZD系アルプラゾラムが、両疾患を鑑別しうるかを体系的に検証し、最終的には偽性クッシング症候群の診断方法の一つとして使用できるようエビデンスを収集することである。
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研究実績の概要 |
偽性クッシング症候群」(偽性CS)は、アルコール多飲やうつ状態、不眠症、高度肥満などを背景に、視床下部のCRH分泌ニューロンが活性化され、ACTHとコルチゾール(F)が高値を示す病態である。手術を要する「腫瘍性クッシング症候群」(CS)とは治療方法が根本的に異なる。本研究の目的は、すでに健常人にてHPA系を抑制することが知られている抗不安薬「アルプラゾラム」を用い、偽性CSとCSを鑑別できるかを検証することである。具体的には①アルプラゾラム内服下の深夜F値の測定、②アルプラゾラムーデキサメサゾン試験(翌朝のコルチゾール値測定)、③デキサメサゾン-CRH負荷試験を行った。2022年4月研究開始後、2022年度7名、2023年度1名、2024年4月~1名、計9名の患者に上記①~③の検査のいずれかまたは複数を行った。この9名は「クッシング症候群の診断と治療の手引き」では、7例が偽性クッシング症候群と診断、2例が診断保留中(クッシング病の可能性が示唆される)の患者である。 検査①は、8例の深夜F異常値のうち7例を診断基準以下に低下させた。低下しなかった1名は、「手引き」においても腫瘍性クッシング症候群が疑われ、外来で経過観察中である。検査②は、6例の0.5㎎抑制不十分例(診断保留中2例を含む)のうち、3例を診断基準以下に低下させた。検査③は、3例に行われ(診断保留中患者1名を含む)、3例とも偽性クッシング症候群を示唆する結果だった。 上記①②の結果では、偽性クッシング症候群患者では、多くの場合、アルプラゾラム投与下では深夜F値が正常化することが示唆された。したがってアルプラゾラムは偽性クッシング症候群の診断の一助となりうることが示された。今後も症例を蓄積していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腫瘍性クッシング症候群と診断しえた症例のデータをまだ集められていない状況である。その理由は、患者が他疾患を抱えている、あるいは著しい代謝異常がないため、ただちに下垂体手術を行えず、経過観察中であるためである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度中に本研究が実施中であると、研究会を通じて専門医らに通知できたため、ACTH依存性クッシング症候群症例の照会例が増えるものと考えられる。
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