研究課題/領域番号 |
22K16406
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山崎 有人 東北大学, 大学病院, 講師 (70833367)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | アルドステロン / 副腎 / コレステロール / 免疫組織化学 / 病理 / コルチゾール / ステロイドホルモン / 遺伝子 / ステロイド / 高血圧 / 病理組織 / 遺伝子変異 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では病理組織学的アプローチからアルドステロンやコルチゾールの自律性過剰産生細胞に特異的なコレステロール受容体の発現プロファイル、細胞内コレステロール代謝の表現型(新規バイオマーカー)の発見を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は原発性アルドステロン症(PA)、クッシング症候群(CS)症例を対象として、昨年度に引き続き、細胞形態像によるコレステロールの取り込み表現型の違いについて解析を行った。特に LDL-R 受容体の発現とその局在(細胞質or細胞膜)、及び、その制御因子として PCSK9 に注目し、これらの発現と細胞形態像との関連性について病理組織標本を用いて、定量的画像解析を実施した。
その結果、ほぼすべての副腎皮質ステロイド産生細胞でPCSK9とLDL-Rの細胞質での発現動態は有意な正の相関関係を示した。 特にPCSK9はAPM症例で他の皮質細胞に比して有意に高く発現し、LDL-Rの細胞質-細胞膜局在の比も同様にAPMで高かった。一方APAではAPMと比べてPCSK9は有意に低かった。 細胞形態ごとの発現動態を検討してみると compact cellにおけるLDL-Rの発現は細胞質、膜ともにclear cellsよりも多いが、細胞質に対しての膜発現の割合は少ない傾向が認められた。
以上より、副腎皮質でも肝細胞などと同様に PCSK9 が LDL 受容体の発現動態に密接に関与していること、更にはアルドステロン自律過剰産生するアルドステロン産生腺腫の腫瘍細胞では 正常球状層細胞を含むアルドステロン産生の非腫瘍性皮質細胞とコレステロールの取り込み経路が異なり、LDL-R を介した取り込みの割合が小さくなる可能性が示唆された。更に今回の検討から clear cells では LDL-R を介したコレステロールの取り込みが活性化していない可能性も示唆され、これらの所見の臨床的意義の検索が今後期待される結果となった。本研究成果については今年度、国内学会にて報告しており、今後、症例数を増やし、論文化予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の時点で PA, CS 症例における免疫組織化学的解析、及び、質量解析について、約40症例を終了しており、研究計画としては順調に進行している。本年度はコレステロール取り込みに関与する新たな制御因子の探索を行っており、今回 PCSK9 に注目しており、現在、PA 組織についてはほぼ終了しており、今後 CS 組織についても検討を加える予定である。また、これらの因子と細胞形態像との相関性についても着目し、現状では有意な相関性を得られており、概ね順調に進行しているものと考える。今後症例数の蓄積を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施した PA 症例における PCSK9 の発現と LDL-R の局在(細胞質-細胞膜)との相関性を検討し、現時点では腫瘍細胞特異的な表現型、細胞形態像との相関性について PA 組織では有意な所見が得られており、今後 CS 症例においても同様の解析を進行する予定である。これらに加え、今年度得られたデータと臨床情報等との関連性についても検討していく予定である。時間的余裕があれば、これらに加え、培養細胞実験による PCSK9 阻害剤のステロイドホルモン産生に与える影響等についても検討を加えたい。
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