研究課題/領域番号 |
22K16407
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 雅臣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00928567)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | GLP-1 / SIRT1 / 腸管内分泌細胞 / 糖尿病 / 肥満症 |
研究開始時の研究の概要 |
GLP-1分泌量は、GLP-1分泌細胞(L細胞)数、L細胞の分泌能力などによって規定される。L細胞数あるいはL細胞の分泌能力の制御は、新たな糖尿病治療法開発の契機となる可能性がある。これまでの予備データをもとに、SIRT1による腸管内分泌前駆細胞の細胞周期制御に基づくL細胞数制御機構およびHDACによるGLP-1分泌制御機構を明らかにしていく。さらに、ケトン食やSGLT2阻害剤によるβヒドロキシ酪酸上昇とそのHDAC阻害作用によるGLP-1分泌上昇効果について検討を行う。天然化合物ライブラリーを用いてL細胞の分泌能力変化をきたす化合物と新規メカニズムの探索を幅広く行う。
|
研究実績の概要 |
SIRT1によるL細胞数制御の解明を目的とし、高脂肪食を負荷したVilKOマウス、Ngn3(Neurogenin3)KOマウス、SIRT1トランスジェニックマウスそれぞれの表現型を詳細に解析した。その結果、腸管上皮の内分泌前駆細胞の細胞周期の進行が、腸管内分泌細胞数とGLP-1分泌を規定する可能性が示唆された。そのメカニズムに関して、オルガノイド培養系を用いてSIRT1が内分泌前駆細胞においてβカテニン脱アセチル化を介して細胞周期を調節するという結果を得た。絶食下においても腸管のSIRT1が亢進することで、腸管内分泌細胞は減少する結果となり、SIRT1トランスジェニックマウスと同様の表現型が得られることが確認できた。L細胞の制御において、内分泌前駆細胞におけるNgnの活性亢進が重要であることが示唆されたため、内分泌細胞数やGLP-1分泌を増加させうる生物活性物質の探索を行った。具体的には、Neurogenin3のプロモーター領域をpGL4-lucベクターにつなぎ、HEK293細胞にトランスフェクションさせた細胞を用い、天然化合物ライブラリーの中からスクリーニングを行った。その結果、一部の物質において、Luciferase活性が顕著に高い物質、すなわちNeurogenin3を強力に活性化しうる物質が同定され、腸管内分泌細胞数を増加させうる物質の存在が示唆された。また、GLUTag細胞を用いたスクリーニングにより、GLP-1分泌を促進する物質の存在も示唆された。これらをマウス小腸オルガノイド系に投与し、in vivo、in vitro両系においてGLP-1分泌促進物質であることを確かめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SIRT1によるL細胞数制御に関しては、VilKOマウス、Ngn3KOマウス、SIRT1トランスジェニックマウスの解析を終え、オルガノイド培養系を用いたメカニズム解析も行った。βヒドロキシ酪酸を用いたGLP-1分泌制御実験についても終盤となり、また、内分泌細胞数やGLP-1分泌を増加させる生物活性物質の探索についても実験を進めており、いくつかの物質において内分泌細胞数・GLP-1分泌を増加させる物質が特定できているため。
|
今後の研究の推進方策 |
βヒドロキシ酪酸によるGLP-1分泌促進効果があまり認められない一方で、βヒドロキシ酪酸による新たな腸管への効果が認められたため、その効果について掘り下げて実験を進めている。腸管のオルガノイド系も用いてその効果を確かめている段階であるが、さらにその実験を進める予定である。
|