研究課題/領域番号 |
22K16427
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森下 宗 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50860962)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | システム生物学 / シグナル伝達 / インスリン / Akt / 2型糖尿病 / 肥満マウス / 数理モデル / 選択的インスリン抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
2型糖尿病の初期症状として,選択的インスリン抵抗性と呼ばれる現象が知られている.選択的インスリン抵抗性は,病態の発症に伴い,インスリンのシグナルがPI3K-Akt経路を介して血糖値低下作用には弱く伝わり,脂質合成には相対的に強く伝わるよう変化する現象だと考えられる. 本研究では,肥満マウス肝臓でのインスリン濃度を,シリンジポンプを用いて厳密にコントロールすることで,インスリン-PI3K-Akt経路の各分子が生体内でどのように応答するか測定する.さらに数理モデルを用いたシミュレーションにより,生体内に存在する”インスリンの波”への応答や,選択的インスリン抵抗性がどのように生じるのかを明らかにする.
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研究成果の概要 |
健常および肥満マウス肝臓において,インスリン-PI3K-Akt経路の各分子がどのようなタイムコースでインスリン刺激に対して反応するか実験および数理モデル解析を行った.2型糖尿病や肥満では,インスリンの効果が減少するインスリン抵抗性が見られるが,これを特定のタンパク質発現量の減少を数理モデルに組み込むと説明できることを明らかにした.また,2型糖尿病の初期症状として選択的インスリン抵抗性と呼ばれる現象が知られているが,Akt下流分子のswitch-likeな濃度応答を観測しており,これを数理モデルで再現することにより,選択的インスリン抵抗性を一部説明できる結果が得られた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
システム生物学は,生命システムの持つダイナミクスを,数理モデルやシミュレーションを用いて明らかにする基礎生物学な興味から始まった分野である.本研究では健常及び,疾患の前発症段階とも言える肥満マウスモデルを用いて定量的な時系列データを取得し,システム生物学的解析を行った.疾患の発症過程を生命システムの変容ととらえることで,システム生物学を疾患の理解へと応用したことは学術的に意義深い. また,選択的インスリン抵抗性の一端を数理モデルを用いて解明したことで,将来的にはより効果的なインスリンやインスリン製剤の投与方パターンのデザイン等につなげられる等,社会的な意義もある.
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