研究課題/領域番号 |
22K16436
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤好 真人 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90844720)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 肝移植 / 機械灌流 / 核酸治療 / 虚血再灌流傷害 / 臓器保存 |
研究開始時の研究の概要 |
虚血再灌流傷害では、虚血により酸素が欠乏し、電子伝達系が停止し代謝基質のバランスが失われ、その後の復温と再酸素化により代謝活性が急激に上昇し、ROS産生、DAMPSの放出、その下流の炎症反応を介して臓器が傷害される。 機械灌流法は再灌流前に電子伝達系を再開させることにより、再灌流時の組織傷害を軽減する。これによりDAMPSの放出は抑制される。 本研究ではsiRNA治療によるDAMPSの発現の直接的な抑制効果を上乗せして、機械灌流法による虚血再灌流抑制効果を強化することにより、グラフト内で始まってしまった虚血再灌流傷害をレシピエント側に波及させることなく終息させる治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
当研究では体外機械灌流法を導入したマウス肝移植モデルを実験系として用いる。前実験において、リポフェクション法を用いた肝臓へのsiRNAトランスフェクションは数時間で行うことができる一方で非生理的低温下では導入効率が著しく低下することが分かっている。そのため、本研究においてsiRNAの体外導入は37℃での常温機械灌流を介して行う予定である。マウス肝移植において常温機械灌流を導入した報告はこれまでにないため、当研究ではまずその技術的確立が必要となる。我々はこれまでに低温機械灌流およびsub-normothermic machine perfusionには成功しているが、これらに比べて常温機械灌流は酸素担体による酸素送達、灌流液の品質維持、灌流ダイナミクスの精密な制御など技術的要求が高く、今年度はその条件検討に多くの時間を費やした。常温機械灌流では低温機械灌流に比べ、より正確な門脈灌流圧測定とポンプコントロールを要するため、灌流装置の改良を行った。酸素担体として赤血球を含有する灌流液を充分量作成することはマウスでは難しいため、血液ドナーからの高効率の赤血球採取法の開発および灌流回路の小ボリューム化を進めた。灌流温度の上昇と灌流液の小ボリューム化は灌流中における灌流液の急激な品質低下につながるため、その条件検討に多くの時間を費やしている。灌流回路については、横隔膜を合併摘出し、肝上部下大静脈を閉鎖する術式によりドレナージ系を閉鎖回路化することにより灌流液ボリュームの大幅な減量を可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス肝臓のnormothermic machine perfusionは技術的要求が非常に高く、条件検討に時間を要している。hypothermic machine perfusionに比べ、より精密な灌流パラメータの測定のため、多くの点で灌流装置の改良を要した。また、酸素担体として赤血球を含有する灌流液をマウスのスケールで作成することは難易度が高く、これらの条件検討に多くの時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はsiRNAによるgene silencing技術を用いた移植臓器の体外治療法に関するproof of concept研究であり、マウスにおけるnormothermic machine perfusionの確立は本研究の核となる部分であり、これには十分な時間をかけて取り組む予定である。この技術の確立後は、凝固因子を標的とするsiRNAを用いた実験で、このモデルを評価する。その後、HMGB-1を標的とするsiRNAを用いた実験で体外治療の有効性を評価する。
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