研究課題/領域番号 |
22K16467
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡部 安博 九州大学, 大学病院, 講師 (90444819)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / 歯周炎 / リポポリサッカライド / LPS-PG / 腎移植 / Treg / 制御性T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
近年腸内細菌叢と免疫の関係が注目されている。腎移植においても腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオシス)により免疫細胞のバランスが崩れ、グラフトへの免疫反応に影響すると予想されるが、これはまだ明らかではない。 本研究では、代表的な歯周病原細菌であるP.gingivalisをラットに経口投与することで腸管ディスバイオシスを惹起させ、そのラットに同種腎移植を行うことでディスバイオシスの腎グラフト拒絶反応への影響とそのメカニズムを解析する。 本研究の結果が、腸内細菌叢への介入という全く新しい拒絶反応の治療法や、腸内細菌叢の個人差を考慮した免疫抑制療法の調整につながり、グラフト生着率をさらに改善することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、代表的な歯周病菌であるPorphyromonas gingivalis (P.g) を用いた腸内細菌叢の変化が移植免疫に及ぼす影響を解明することである。腸内細菌叢と免疫の関係として、特に制御性T細胞(Treg)は腸内細菌の代謝産物によりその発現が制御されていることが知られており、我々は腸内細菌叢の変化によるTreg発現の変化および腎移植拒絶反応への影響を解析している。今年度はまず、上顎臼歯の結紮およびP.g投与による実験的歯周炎モデル(EP)を用いて実験を行った。このEPラットの末梢血中のTregをフローサイトメトリーで測定したところ、未処置のコントロールラットと比較して、EPラットで有意にTregが増加していた。しかしEPラットおよびコントロールラットに同種腎移植を施行したところ、レシピエント生存率に2群間で有意な差はなかった。 この結果は、第123回日本外科学会定期学術集会のデジタルポスターで「歯周炎によるディスバイオシスの移植免疫への影響」として報告した。 さらに、ここまでの研究結果をもとに、P.gの移植免疫、特にTregへの影響として、P.g由来のリポポリサッカライド(LPS-PG)に着目し、さらなる研究を行った。ラット脾臓細胞をin vitroでLPS-PGと共培養することでTregが有意に増加し、また混合リンパ球試験によりLPS-PGが同種免疫反応を抑制することを確認した。さらにLPS-PGを尾静脈投与したラットに同種腎移植を行うと、移植後の拒絶反応が有意に抑制され、これにTregの増加が関与している可能性が示唆された。この研究結果を第36回バイオセラピィ学会で「歯周病菌由来リポポリサッカライドによる制御性T細胞を介した免疫応答への影響」として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験計画から変更はあるものの、実際に実験と解析を行い、現在論文を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究成果を論文として報告予定である。
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