研究課題/領域番号 |
22K16477
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鶴田 覚 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (50814365)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | オルガノイド / 膵臓癌 / 胆道癌 / 癌微小環境 / 癌オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
膵臓癌および胆道癌はその他の固形癌と比べ特に予後不良な難治性悪性疾患とされる。その生物学的メカニズムに関しては不明な点が多く、従来の疾患モデルは実臨床での癌細胞における挙動との乖離が問題である。近年の三次元培養技術の発展により、新たな表現型解析の手段として癌オルガノイドの作製が報告されるようになった。本研究では、外科的切除に至った膵臓癌・胆道癌試料からオルガノイドを作製後、線維芽細胞・神経細胞を導入しin vitroで癌微小環境を再現し、臨床における癌組織の生物学的特性・表現型を反映したバイオモデルの開発を行い、病勢や予後予測、治療開発に有用な新規バイオマーカーや治療ターゲットの探求を行う。
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研究実績の概要 |
膵臓癌および胆道癌はその他の固形癌と比べ特に予後不良な難治性悪性疾患とされる。近年のトランスクリプトーム解析の進歩は生物学的因子の重要性を明らかにしたが、その生物学的メカニズムに関しては不明な点が多く、従来の疾患モデルは実臨床での癌細胞における挙動との乖離が問題である。近年のイノベイティブな三次元培養技術の発展により、新たな表現型解析の手段として癌オルガノイドの作製が報告されるようになった。本研究では、外科的切除に至った膵臓癌・胆道癌試料からオルガノイドを作製後、線維芽細胞・神経細胞を導入しin vitroで癌微小環境を再現し、臨床における癌組織の生物学的特性・表現型を反映したバイオモデルの開発を行う。また、患者特異的癌オルガノイドの形態学的および分子生物学的検証を行い、臨床データを組み合わせることで病勢や予後予測、治療開発に有用な新規バイオマーカーや治療ターゲットの探求を行うことを最終的な研究目標とする。今年度は弘前大学医学部附属病院での倫理申請(研究課題名『新規バイオモデルとしての患者腫瘍由来三次元オルガノイド培養システムの確立と統合的解析』)承認下で、手術に至った膵臓癌と遠位胆管癌の手術検体から弘前大学病理生命科学講座と協力しサンプル採取を行い膵臓癌オルガノイドおよび胆道癌オルガノイドの作成を行った。研究立案当初より想定していたオルガノイド創出とその維持培養・凍結保存によるバンク化が可能である環境を整えた。癌オルガノイドが患者検体のタンパク質表現パターンを再現していることも確認された。今後は癌微小環境構成細胞である線維芽細胞・神経細胞の導入プロトコルを検証しそのインタラクションの検証とタンパク質レベルでの解析を行っていく。今年度は、癌進展に関与する微小環境の実態解明を目的とした患者特異的癌バイオモデルを実現するための重要な基盤成果が達成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵臓癌および胆道癌の癌進展に関与する微小環境の実態解明を目的とした患者特異的癌バイオモデルを実現するため、手術検体から膵臓癌・胆道癌オルガノイドの作製に成功した。樹立されたオルガノイドは切除検体と同様のタンパク発現パターンを有していることが免疫組織染色にて確認され今後の患者特異的バイオモデルとしての応用が期待される結果であった。今後はこの癌細胞オルガノイドをよりロバストにしその評価を確実にできることが今後は必要である。そのための重要な基盤は初年度で構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究立案当初より想定していたオルガノイドの樹立とその維持培養・凍結保存によるバンク化が可能である環境を整えた。一方で、本学ではこれまでオルガノイド研究実績がなく作製には多数の工程が必要でその安定化には工夫が必要であった。そして、樹立効率は決して高くなく今後はその技術的な課題も考慮しつつ、更に工程が多くなることが考慮される共培養による癌微小環境メカニズムの解明研究をより強く進めていく。
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