研究課題/領域番号 |
22K16497
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
西口 由希子 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40867727)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | ミトコンドリア / ミトコンドリア鉄 / 抗がん剤 / 胃癌 / 糖化HMGB1 / 糖尿病 / 大腸癌 / 膵癌 / A1C / HMGB1 / がん転移 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト大腸癌および膵管癌における糖化HMGB1の意義をヒト大腸癌・膵癌組織を用いて明らかにし、糖尿病マウス同所性腫瘍モデルを用い、糖化HMGB1の癌進展特にガン転移における役割とその分子機序を解明する。さらに、阻害剤スクリーニングを用いて糖化抑制薬の抽出を行い糖化HMGB1への作用と腫瘍進展への影響を検討する。糖尿病は発癌リスクのみならず、癌の悪性度が高く、転移や再発が非糖尿病患者に比較し高いことが知られている。糖尿病における糖化HMGB1の研究は、その癌の悪性化機序を解明するのみならず、糖尿病合併症の新たな機序の発見につながると期待される。
|
研究実績の概要 |
糖化HMGB1によりミトコンドリア酸化ストレスの増加が報告されており、その背景にミトコンドリア鉄の増加が関与する。本年度は、ミトコンドリア鉄の蓄積と抗がん剤の効果について検討を行った。プテロスチルベン(PTE)は、ミトコンドリアの電子伝達系を障害することでミトコンドリアROSを増加し抗癌剤の抗腫瘍効果を増強することをわれわれは報告している。今回、抗癌剤のミトコンドリアへの2価鉄蓄積作用とPTEの併用効果を検討した。鉄蓄積性の抗がん剤(Fe+剤)としてラパチニブ(LAP)とドキソルビシン、鉄非蓄積性の抗がん剤(Fe-剤)として5-FU、シスプラチン(CDDP)、Wartmanninを用い、ヒト胃癌細胞株TMK1とMKN74を処理した。Fe+剤では単剤よりもPTE併用により増殖抑制は促進されたのに対し、Fe-剤ではPTEによる上乗せ効果は認められなかった。幹細胞マーカーCD44のmRNA発現は、Fe+剤では発現は抑制されたのに対し、Fe-剤では逆に発現は促進された。ヌードマウス皮下腫瘍モデルでTMK-1に対するLAPとCDDPおよびそれらに対するPTE併用の効果を検討した。腫瘍体積は、LAP群よりPTE併用で有意に縮小したが、CDDP群とPTE併用では有意差はなかった。上記のことから、PTE併用効果は、ミトコンドリア二価鉄蓄積性を示す薬剤に限定されていることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗がん剤のミトコンドリア鉄の蓄積作用の有無により、プテロスチルベンによる増感作用に差異が生じることを見出した。
|
今後の研究の推進方策 |
抗がん剤のミトコンドリア鉄の蓄積作用の有無により、プテロスチルベンによる増感作用に差異が生じること機序について、検討を行う。
|