研究課題/領域番号 |
22K16498
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
北谷 純也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30596979)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | iPS 細胞 / 樹状細胞療法 / 腫瘍免疫 / 獲得免疫 / オルガノイド / iPS細胞 / 樹状細胞 / ネオアンチゲン / 癌免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
担癌患者における成熟能や抗原提示能の低下といった樹状細胞療法の弱点を克服するために,iPS細胞由来樹状細胞 (iPSDC) を用いた癌ワクチン療法の基礎研究を行ってきた.これまで,マウスやヒトのiPS細胞からiPSDCへの分化誘導に成功し,iPSDCに腫瘍関連抗原遺伝子を導入したiPSDCは,腫瘍抗原特異的な抗腫瘍効果を発揮することを報告した.本研究は,消化器固形癌に対する根治を目指した究極の個別化癌ワクチン療法の開発を目的として, ネオアンチゲンパルスiPSDCワクチン療法の有効性を実証し,誘導されたCTLによる抗腫瘍効果に関して,癌オルガノイドを用いて検討することを目的とする.
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研究実績の概要 |
担癌患者からiPS由来樹状細胞を作成するために、まず学内の倫理申請を行い、承認を得た。iPS細胞は末梢血単核球にSendaiウイルスベクターを用いて山中4因子を導入することで、各個体より安定的に樹立が可能であった。iPS細胞から樹状細胞を誘導する手順は、これまで報告してきているように、feeder free下に、造血サイトカイン(BMP4,VEGF,FLT3 ligandなど)を用いて行った。各表面化マーカーやサイトカイン産生能、遊走能などは、一般的に用いられる単球由来のそれと類似する発現を認めることを確認した。また、これら誘導したiPS由来樹状細胞が抗原提示細胞として機能しているか、自己PBMCを刺激することで、細胞傷害活性を検証した。特異的抗原としては、胃癌で発現率が高いMesothelinをアデノウイルスベクターで遺伝子を導入することで標的抗原とした。自己リンパ球から樹立したlymphoblastoid cellに同じくMesothelin遺伝子を導入し標的として、細胞傷害活性をCrアッセイで確認した。結果、Mesothelin特異的な細胞傷害活性をin vitroで確認した。オルガノイドの作成も進めており、樹立手法を変更し、新たなプロトコールでの作成を行っている。オルガノイドの樹立が安定的に行えるようになれば、次世代シーケンサーを用い、WESおよびRNA sequenceにて解析を行った後に、ネオアンチゲン予測に移る。候補となるネオアンチゲンが同定できれば、ペプチドカクテルワクチンとして、細胞傷害活性を自己のオルガノイドを標的として、評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3名の末梢血単核球 (PBMC)よりiPS細胞を樹立し、feeder free下にヒトiPS由来樹状細胞への分化誘導を行った。この時点で様々な細胞表面マーカー (CD11c、CD80、CD83、CD86、CD40、 Class I、Class II、TLR2、3、4、PDL-1、TIM-3(CD209))の発現率をフローサイトメトリーで測定し、TNFα、IFNγ、IL-12p70などのサイトカイン分泌能をELISA法で測定し、成熟能の評価を行った。また、遊走能に関しては、CCR7の発現を解析したが、単核球由来の樹状細胞と類似する結果であった。抗原提示細胞としての実際の機能に関しては、in vitroでの免疫刺激モデルで行った。誘導したiPS由来樹状細胞に胃癌で発現率が高いMesothelinをアデノウイルスベクターで遺伝子を導入することで標的抗原とした。自己リンパ球から樹立したlymphoblastoid cellに同じくMesothelin遺伝子を導入し標的としてMesothelin遺伝子導入iPSDC由来樹状細胞で自己PBMCを3回刺激した後に、CD8T細胞をセルソートし、細胞傷害活性をCrアッセイで確認した。結果、3名の固体においてMesothelin特異的な細胞傷害活性を認めることをin vitroで証明した。 オルガノイド作成に関しては、やや実験が遅れている。プロトコールを少し修正し、担癌患者のオルガノイド作成を行うこととしている。
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今後の研究の推進方策 |
オルガノイド作成に関しては、プロトコールを以下のように修正し、担癌患者のオルガノイド作成を行う。切除した腫瘍組織から壊死している部分を丁寧に取り除いた後断片化し、Liberase TH Research Gradeを3-5ml加え37度のウォーターバスで30分間インキュベートする。5分から10分ごとにピペッティングする。断片を振盪しながら37℃で10分間インキュベートする。30秒ほど静置し、上清を取り除く。TrypLE Expressを2mlほど加え、37度で15分間インキュベートする。その間、5分ごとにピペッティングを行う。その後、200g×3分で遠心を3回繰り返す。マトリゲルでペレットを混濁し、48ウェルプレートに25μLずつドームを形成する様に播種する。マトリゲルを固相化したあと、complete mediumを加える。この際Y-27632因子とPrimocin、Fungizoneを加える。培地交換は2-3日ごとに行う。オルガノイドの作成と保管に関して確立できれば、オルガノイドよりDNAを抽出し、WESおよびRNA sequenceを次世代シーケンサーで確認する。樹立した癌オルガノイドよりカラム法を用いた All Prep DNA/ RNA FFPE kit (QIAGEN 社) で用手によりDNA抽出を行う。また、患者血液から正常DNAの抽出を行う。核酸抽出後、ライブラリー構築、次世代シーケンサーによるシーケンスを行う。候補となるネオアンチゲンを予測し、候補となる12-15個のネオアンチゲンペプチドを合成する。
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