研究課題/領域番号 |
22K16513
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
徳光 幸生 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40593299)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 癌 |
研究開始時の研究の概要 |
独自の癌幹細胞誘導培地を用いて誘導した癌幹細胞様細胞 (CSLC) は、治療抵抗性や腫瘍原性に加えて転移能を有することも確認された。膵癌主要組織には癌関連線維芽細胞が非常に多く、既存の抗癌剤や放射線治療の抵抗性には、周辺の微小環境も強く関与している可能性も強い。癌の根治のためには癌幹細胞のみではなく周辺の微小環境をも標的とした治療を開発する必要がある。独自のCSLCを用いて、シングルセル解析等を行うことで、『CSLCにおける真の発現動態はどのようになっており、CSLCに真に特徴的な遺伝子群は何か?』、『癌微小環境を標的とした癌療法へつなげることが出来るか?』という問いを明らかとする。
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研究実績の概要 |
研究代表者らは、膵癌細胞株から膵癌幹細胞様細胞 (P-CSLC) を誘導する方法を開発し、カルレティキュリン (CALR) が膵癌幹細胞の新規マーカーとなること、さらには、カテプシンB (CTSB) が重要な関連分子であることなどを報告してきた。本研究では、これらの結果を応用し、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクスという網羅的なアプローチを通して、これらの分子と膵癌幹細胞の相互関係を明らかにするとともに、微小周辺環境に及ぼす影響について解明することを目標とする。 P-CSLCの誘導について、これまで短期のSphere誘導と長期のラミニン上での培養を組み合わせて行ってきたが、長期培養では死細胞の増加によるP-CSLC回収率の低下が問題であった。肝癌細胞株からのCSLC誘導においては、短期のSphere誘導のみで癌幹細胞表現系 (造腫瘍能、抗癌剤耐性、転移能、免疫逃避能) を獲得できることを確かめており、さらに胃癌や食道癌細胞株においても短期のSphere誘導のみで抗癌剤耐性を獲得することを確かめた。そこで膵癌細胞株においても短期のSphere誘導系を適用したところ、Capan1細胞株より抗癌剤 (オキサリプラチン、イリノテカン) 耐性の亢進を示すCSLCが得られることが明らかとなった。Capan1細胞株を親株として、誘導したP-CSLCとの遺伝子発現比較をRNA-seqおよびGene Set Enrichment Analysis (GSEA) により行った。その結果、我々の先行研究と一致してP-CSLCでのALDH1A1やHIF1Aの発現上昇を認めた。さらに、肝癌CSLCより同定したCSLCエクソソーム放出に重要なRAB3Bに加えて、RAB27A/Bの発現上昇も確認された。また、GSEAからはCSLCにおける抗原ペプチドに関する負の集積が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
P-CSLC誘導法について、さらなる改善を行い、実験効率が向上した。新たに得たCapan1からのP-CSLCにおいて、抗癌剤耐性だけでなく、エクソソームを介した腫瘍微小環境への影響や免疫逃避の可能性を示唆するデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
P-CSLCの腫瘍微小環境への影響について、細胞膜 (抗原提示など) や分泌分子 (エクソソームなど) の解析を進める。
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