研究課題/領域番号 |
22K16514
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
保坂 優斗 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70866425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | IPMN / microbiota / microbiome / マイクロバイオータ / 膵嚢胞性腫瘍 / ※IPMN |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌の腫瘍内に微生物叢(マイクロバイオータ)が検出されたことに着目し、経乳頭的に進入したマイクロバイオータが慢性炎症を惹起し、膵癌の前癌病変である膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)を発生させると仮説を立てた。この仮説を検証するために次世代シーケンサーを用いたIPMN腫瘍内の菌叢解析、②細菌注入後のオルガノイドの機能性RNA解析、③同定した分子の発現調整による膵管上皮の形態変化の検証を行うこととし、IPMNの発生機序を紐解く。
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研究実績の概要 |
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN; intraductal papillary mucinous neoplasm)は緩徐に成長し生物学的悪性度は低いとされているが、浸潤癌に進展すると通常型膵管癌と同様に予後不良である。またIPMNは併存膵癌の頻度も高く、膵癌の発癌素地として認識されている。IPMNの発生機序を明らかにすることはIPMNの癌化の早期発見、あるいは癌化の予防につながるIPMN新たな治療法の開発へつながる可能性を秘めている。本研究では膵癌の腫瘍内に微生物叢(マイクロバイオータ)が検出されたことに着目し、経乳頭的に進入したマイクロバイオータが慢性炎症を惹起し、膵癌の前癌病変であるIPMNを発生させると仮説を立てた。この仮説を検証するために①次世代シーケンサーを用いたIPMN腫瘍内の菌叢解析、②細菌注入後のオルガノイドの機能性RNA解析、③同定した分子の発現調整による膵管上皮の形態変化の検証を行うこととした。今年度は次世代シーケンサーを用いたIPMNの腫瘍内の菌叢解析を行い、IPMNの群間比較で主膵管型IPMNは分枝型IPMNよりもFirmicutes門の相対的菌量が少なく、Proteobacteria門とFusobacteria門が多い傾向がみられた。浸潤癌はBacteroidetes門およびFusobacteria門の相対的菌量は非浸潤癌に比べ有意に高かった。腸型はFirmicutes門の相対的菌量が非腸型に比べ有意に低かった(p=0.04)。特に、腸型の主膵管型IPMNではProteobacteria門とFusobacteria門の割合が増加し、浸潤性の主膵管型IPMNの腸型ではFusobacteria門が豊富であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画どおりに初年度研究を終え、得られた結果は誌上発表した(Surgery. 2023 Feb ;173(2):503-510. doi: 10.1016/j.surg.2022.10.003.)。
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今後の研究の推進方策 |
現段階ではヒトIPMN細胞を用いたオルガノイド作成、細菌注入手技の獲得を目指し取り組んでいる。今後、手技が安定して行えるようになればIPMNオルガノイドの作成とFusobacteria門の細菌注入群と非注入群で機能性RNA解析を行い、悪性化と関連する分子を探索する予定である。 最終的には同定した分子を導入することで、正常膵管上皮オルガノイド、IPMNオルガノイドでの形態変化を観察する予定である。
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