研究課題/領域番号 |
22K16537
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
伊東山 瑠美 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (50868172)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 膵癌 / セリン / アミノ酸 / PHGDH / PGAM1 / 糖代謝 / アミノ酸代謝 / PGAM / 代謝 / 代謝リモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌が未だに予後不良である理由の一つとして、進行するまで症状が出現しにくく、偶発的に発見される以外にはなかなか早期発見が難しいという点が挙げられる。一方で、膵癌は乏血性腫瘍であるため酸素や栄養の供給が十分ではないにも関わらず浸潤・転移能が高く、臨床的にも術後最初のリスクが高いという特性を有する。その膵癌細胞の特性を、代謝リモデリングという観点から特にセリン生合成に注目し、明らかにすることで、これまでの化学療法とは異なる機序で抗腫瘍効果を発揮する治療ターゲットの創出に繋がる可能性を考えている。
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研究成果の概要 |
がん細胞における代謝は正常細胞と異なり、その代謝経路をリモデリングしていると考えられている。中でもアミノ酸は広範な代謝経路に関与するためfocused metabolomicsの対象として有用であるとされ、血中アミノ酸濃度測定によるがんスクリーニング検査が開発され、その結果はがん種毎に特異的な変化を示すことが分かってきた。 本研究では非必須アミノ酸の一つであるセリンに着目し、膵癌細胞が増殖能の維持のためにセリン生合成を亢進させる新たなメカニズムを明らかにすると同時に、マウスを用いたin vivoの実験で、セリン欠乏食が膵癌に対して抗腫瘍効果を持つ可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌はあらゆるがんの中で最も予後不良ながんであり、その有効な治療法や早期発見のためのマーカーの開発は喫緊の課題と言える。通常、難治癌である膵癌患者の栄養状態は不良であり、amino acid malnutritionであるとされる一方で、膵癌患者の血中セリン濃度が高値であることから、このセリンに着目した研究を行った。 本研究では膵癌が増殖能維持のためにセリン生合成を亢進させる新たなメカニズムを明らかにし、in vivoでの検証で、セリン欠乏食が膵癌に対する治療になり得る可能性を示した。今後の膵癌に対する個別化医療への発展や、新たな予後予測因子の創出につながり、臨床的意義は大きいと考えられる。
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