研究課題/領域番号 |
22K16538
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田上 聖徳 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (50721031)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 腫瘍免疫 / 膵癌免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では膵癌モデルで血管シグナルを標的とする薬剤を用いて腫瘍血管の成熟を促すことで、腫瘍微小環境における膵癌の抑制的な免疫環境を改善し、免疫チェックポイント阻害薬と血管シグナル標的薬の併用療法の治療効果を確認する。腫瘍の遺伝子発現プロファイルから腫瘍血管に関連する遺伝子発現と免疫環境の関連を評価し、それぞれの症例における血管成熟化が期待できる薬剤の個別化選択を可能とする。膵癌の新規免疫療法の開発と同時に患者ごとに薬剤の選択を適切に行える個別化治療の確立を目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、腫瘍内の新生血管の正常化によって免疫療法の治療効果を増強することである。我々は、まず初めに新生血管の構築に最も関係することが明らかとなっている血管内皮増殖因子 (vascular endothelial growth factor; VEGF)と腫瘍微小環境の免疫状態との関連を明らかにするために大腸癌の手術切除検体を用いて検証を行った。T3またはT4の進行大腸癌患者(n = 135)で術前化学療法を受けなかった患者(UPFRONT群、n=54)、術前化学療法としてFOLFOXを受けた患者(FOLFOX群、n=55)、切除不能大腸癌としてFOLFOXとベバシズマブの併用療法後に切除を受けた患者(B-MAB群、n=26)に分類し、3グループ間で比較検討した。細胞傷害性T細胞数は、3群間で差はなかった。 B-MAB群では、PD-1陽性T細胞、FOXP3陽性リンパ球、CD163陽性単球の数が他の2群より少なく、それらの細胞数は組織学的治療効果との相関も見られた。これらの結果から、VEGF阻害剤は抑制性免疫細胞の浸潤を抑制し、またPD-1のT細胞での発現を減少させており、免疫環境を改善することが示され、これを報告した (Hamada. Y, Tanoue K, et al, Scand J Gastroenterol. 2023)。また我々は、VEGFをPD-1、PD-L1などの分子と共に免疫チェックポイント阻害剤の治療効果のマーカーとなり得るかを検討した。実際に免疫チェックポイント阻害剤を使用した胃癌患者の血清を用いて行った。VEGFの、予後、治療効果との関連を検証を行い論文化した。現在投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記研究の論文作成、投稿に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
血管正常化と腫瘍免疫の関連を癌の手術検体とマウスモデルで検証を行う。先に手術検体で腫瘍血管の性状の評価法を確立し、それに対応する腫瘍免疫環境の状態も評価する。VEGF阻害剤を使用した検体も用いて、血管形成への影響を調べる。以上の実験結果で血管正常化と腫瘍免疫の関連が明らかとし、マウス実験に進む予定である。
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