研究課題/領域番号 |
22K16542
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
竹内 昭博 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (40735916)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 癌関連線維芽細胞 / 細胞老化 / 微小環境 / 胃癌腹膜播種 / CEACAM1 |
研究開始時の研究の概要 |
医学の進歩が著しい現在も,進行胃癌は腹膜播種再発率が高く難治性である.近年,癌細胞を取り巻くがん微小環境で,癌関連線維芽細胞 (Cancer-Associated Fibroblasts: CAFs) は癌の増殖や浸潤,免疫抑制・薬剤耐性などに関与しており,注目を集めている.本研究の目的は,胃癌臨床検体を用いて胃癌細胞とCAFsとの関係を明らかにすることである.がん微小環境におけるCAFs, 特に細胞老化を起こしたCAFsの癌細胞へのシグナル伝達を解明し,制御することで新たな胃癌治療の確立が可能と考えている.
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研究実績の概要 |
これまで我々は膜貫通型糖蛋白で接着分子であるCEACAM1に着目した多数の癌腫と形態変化との関連について,また大腸癌浸潤先進部における癌細胞巣とCAFsの発現についての研究を行ってきた.CEACAM1 cDNAがpHβAPr-1にクローニングされた既存のplasmid (BGPa/pHβ)をE.coli DH5αで調製して胃癌培養株NUGUC3に導入、同様に、CEACAM1 shRNAをコードするcDNAがpGeneClip Neomycin Vectorにクローニングされた既存のplasmid(SureSilencing shRNA Plasmid for HumanCEACAM1)を胃胞癌培養株MKN7に導入し、遺伝子導入した胃癌細胞株を,NOD-scidマウスの皮下,腹腔内に接種し,CEACAM1 isoform発現の強弱により,腫瘍の浸潤や形態がどのように変化するかを検討した.(動物実験計画、遺伝子組み換え実験計画については承認を得ている)さらに腫瘍組織像における腫瘍細胞とCAFsとの関連を共染色にて評価した. 胃癌細胞株におけるCEACAM1発現の違いによるEMTマーカー(E-カドヘリン、N-カドヘリン、ビメンチン)など発現変化をウエスタンブロッティング法を用いて評価を行ったが、胃癌におけるEMTマーカーやCEACAM1発現とCAFsとの有意な関係性を評価するには至っていない.進行胃癌におけるリンパ節転移の頻度と郭清、および分子マーカー発現についても検討を行い第96回日本胃癌学会総会にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
胃癌におけるEMTマーカーやCEACAM1発現とCAFsとの有意な関係性を評価するには至っていない.腹膜播種との関連について、in vivoでの検討を行っていきたいが、臨床的に腹膜播種切除を行う機会が稀であるため、腹膜播種組織におけるEMTマーカーの発現を検討する機会が限られている。また、腹膜播種の墓地となる軟部組織の情報が不足しており、腫瘍関連繊維芽細胞の関係をretrospectiveに検討することが難しい状況である。また研究者自身の研究環境も、他施設での勤務との並行を余儀なくされている現状がある。
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今後の研究の推進方策 |
病理組織を用いた胃癌腹膜播種と癌繊維芽細胞との病理学的関係を、症例数を増やして検討を行うとともに、EMTマーカーだけではなく細胞老化マーカー細胞老化遺伝子 (ARF, p21, p53, p16 (INK4a), TIMP-1,pRb)の発現量を免疫染色・digital-PCRを用いて評価する。マウスXenograftモデルを作成し腫瘍組織から,細胞老化遺伝子 (ARF, p21, p53, p16 (INK4a), TIMP-1,pRb)の発現量をあわせて評価する。 また基礎的研究だけではなく進行胃癌におけるリンパ節転移の頻度と手術郭清効果を科学的に評価行い、予後との関連・EMT分子マーカー、細胞老化マーカー発現との関連についても検討を行っていく。
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