研究課題/領域番号 |
22K16549
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
川口 直 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (20908941)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / IL-6 / 類洞内皮細胞 / 飽和脂肪酸 / NAFLD / LSEC |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)では初期の段階より肝類洞内皮細胞(LSEC)が機能障害を受け、NAFLDの進行に関わることが示唆されている。しかし、LSECの機能障害が誘発される機構や肝障害が生じる原因については不明な点が多い。一方で、NAFLD患者では主要な炎症性サイトカインの一つである血中IL-6濃度の増加が指摘されている。そこで本研究では、LSECやNAFLDマウスモデル、ヒトNAFLD切除標本を用いて、LSECにおけるIL-6トランスシグナルが、LSECの機能障害及びNAFLDの発症や病態進展への関与を検証する。
|
研究実績の概要 |
肝類洞内皮細胞(liver sinusoidal endothelial cell: LSEC)は肝臓の恒常性を保つために重要な細胞である。本研究では、非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)における、IL-6トランスシグナルを介したLSECの役割についての検討を行い、NAFLDの発症や病態進展への関与を検証することが目的である。 本年度は以下の内容について研究を行い、成果を得た。 ①NAFLDを想定した病態をin vitroで再現すべく、ヒト初代培養LSECを飽和脂肪酸下で培養し、そこにIL-6/sIL-6複合体を付加することでIL-6トランスシグナルを誘導し、関連遺伝子の発現の評価を行った。その結果、炎症性サイトカイン、好中球走化因子、細胞接着因子において、それぞれ飽和脂肪酸下でのIL-6トランスシグナルの増幅効果を認め、一部は相乗的に作用していることを発見した。尚、上記実験を行う前に、ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human umbilical vein endothelial cell: HUVEC)を用いて先行実験を行っており、概ねLSECと類似した結果を得た。 ②NAFLDマウスモデルを作成し、IL-6トランスシグナル関連遺伝子の評価を行った。その結果、Controlマウスと比較し、NAFLDマウスの全肝組織では有意に炎症性サイトカイン、好中球走化因子、細胞接着因子の上昇を認めた。 またHE染色においてNAFLDマウス肝で好中球の誘導が有意に増加していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LSECと培地の購入までに時間を要したが、その後の研究進捗は順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
In vitro:飽和脂肪酸下にIL-6/sIL-6複合体を付加することで実際に好中球の誘導数やLSECへの接着数が増加することをトランスウェルアッセイにて検討する。また、飽和脂肪酸による脂肪毒性によりLSECに障害が起こることを、ウェスタンブロットを用いた表面マーカーの発現の変化によって証明する。 さらにRNAシークエンスを行い、遺伝子発現のプロファイリングを確認し新規トランスクリプトの同定することで本研究を発展的なものとする。
In vivo:NAFLDマウスモデルよりLSECを単離し、関連遺伝子の発現解析を行いControlマウスと比較する。LSECの障害については表面マーカーの変化や、電子顕微鏡を用いたLSECに存在する小孔数の変化によって評価を行う。 2024年6月に開催される日本肝臓学会で発表を予定し、今年度中の論文作成を予定している。
|