研究課題/領域番号 |
22K16561
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
牛島 智基 九州大学, 大学病院, 助教 (70529875)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 低侵襲心臓手術 / 片側性肺水腫 / 片肺換気 / 肺虚血再灌流障害 |
研究開始時の研究の概要 |
ブタ体外循環下分離肺換気モデルの確立を目指し、NOガスの使用の有無による同モデルを用いて、一定時間の右肺動脈遮断・右肺換気停止の状態を経た肺および肺血管のマクロ的評価、血清学的評価、および病理組織学的評価・分子生物的手法によるミクロ的評価を行う。さらに、実臨床のMICSにおいて、NOガスが呼吸機能・血行動態に与える影響を解析するとともに、手術転帰、片側性肺水腫を含めたMICS関連合併症の発生の有無について評価することで、NOガス投与の有効性と安全性を評価する。
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研究実績の概要 |
低侵襲心臓手術後の片側性肺水腫を想定するため、間欠的心筋保護を併用した体外循環併用心停止下片肺換気のモデル作成にも着手を行ったが、数時間の心停止モデルの不安定性と心筋保護液を追加することによる血液希釈などもあり、安定したモデルとなりえないと判断した。 ブタ体外循環下片肺換気モデルの作成に関しては、実際の臨床での手術では、心停止時は肺血流がほぼ消失する状態であるため、当初の計画と違い、体外循環併用時に主肺動脈を遮断する方針とし、血行動態を実際に手術に近似させるよう変更した。 3時間の体外循環下片肺換気を行い、その後3時間の観察期間を設けた。片肺換気はブタの気管支の解剖学的特徴から左肺虚脱のモデルとした。この実験系では安楽死後の左右下葉の湿乾燥重量比を測定すると左肺すなわち虚脱側での肺水分量が多いという傾向が見受けられた。病理学的には明らかな差があるとまでは言えなかった。 片側性肺水腫の原因は肺虚血再灌流障害の増悪によるものではないかという推察を念頭におき、病理的変化が生じるまでのモデル作成を行うためには慢性期実験が必要、すなわち体外循環離脱後の観察期間を延長する必要があった。肺虚血再灌流障害では虚血増大時にマクロファージの活性化と炎症性サイトカインの増加がみられ、再灌流時に好中球が組織へ隔離され、細胞障害因子などを放出することから、観察期間3時間という急性期で比較可能な評価項目として炎症性サイトカインに着目して実験を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ブタ体外循環下片肺換気のモデルは先行論文になく、モデル完成までに試行錯誤を要した。実際の臨床での手術を想定して、心停止モデルでの予備実験も行ったため、最終的なモデル確立に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
ブタ体外循環下片肺換気モデルは申請時と多少のプロトコールの相違はあるが、安定して体外循環、片肺換気時間、観察期間を確保できるようになってきている。 今後は評価項目を増やし、換気肺と虚脱肺での相違のある項目を探索する。 左右の肺で差のある評価項目がまとまり次第、一酸化窒素ガス吸入群への着手を行う。また一酸化窒素ガスの投与濃度や投与時間の条件をいくつか試す必要がある。
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