研究課題/領域番号 |
22K16563
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
川本 尚紀 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (40800454)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | TAVR / SAVR / low risk AS / 脳梗塞 / 認知症 / 術後脳梗塞 / 経カテーテル大動脈弁置換術 / 外科的大動脈弁置換術 / STS risk score / 術後認知症 / 大動脈弁狭窄症 / 大動脈弁置換術 |
研究開始時の研究の概要 |
2021年4月、本邦において、低手術リスク群(STS risk score 4% 未満)の重症大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術が承認された。本研究では、低手術リスク群の重症大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術、及び外科的大動脈弁置換術後の脳梗塞(無症候性含む)の頻度を明らかにし、術後の脳血流の変化、認知・高次機能の変化を比較検討することを目的としている。この検討結果が、比較的若年で社会的に自立している低手術リスク患者群の重症大動脈弁狭窄症を有する患者における、経カテーテル大動脈弁置換術もしくは外科的大動脈弁置換術の手術選択をする際の参考となる事を期待している。
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研究実績の概要 |
2022年2月15日から患者登録を開始し、低手術リスク(STS risk score 4%未満)の外科的大動脈弁置換術患者(SAVR群)31例、経カテーテル大動脈弁置換術患者(TAVR群)20例の登録を開始した。そのうち、SAVR群で心房細動が4例、頸動脈狭窄が1例判明し、術後完全房室ブロックでペースメーカー留置となった患者が1名でたため、6名がSAVR群から脱落した。TAVR群では、心房細動が3例、頸動脈狭窄が2例認められた為、5名がTAVR群から脱落した。結局、SAVR群25例、TAVR群14例の計39例の患者が術前、術直後のデータを登録することができた。SAVR群の患者は、平均年齢75.2±4.0歳、男性10例(%)、平均BSA 1.61±0.15m2, 術前STS risk scoreは2.5±1.3、術前clinical frailty scaleは2.5±0.6点であった。術前Montreal Cognitive Assessment (MOCA)はSAVR群で24.4±3.6点であった。経カテーテル大動脈弁置換術群の患者は、平均年齢81.1±4.2歳、男性7例(%)、平均BSA1.53±0.1m2, 術前STS risk scoreは3.4±1.0、術前clinical frailty scaleは3.0±0.6点であり、術前MOCAは20.1±4.0点であった。有意に経カテーテル大動脈弁置換術群の患者で平均年齢が高く、術前MOCAは低い傾向となった(p<0.01)。術後の頭部MRIで急性期脳梗塞の所見を認めたのは、SAVR群で12例(48%)、TAVR群で8例(57%)となり、TAVR群で多い傾向となった。術後3ヶ月でのMOCAはSAVR群で25.4±3.6点、TAVR群で20.3±4.4となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していた患者数は、2年間100例(SAVR 50例、TAVR 50例)であったが、実際にはentry段階でSAVR群31例、TAVR群20例であった。予想以上に、STS risk score 4%未満の大動脈弁狭窄症患者が少なかったこと、また、エントリー後、心房細動や頸動脈狭窄などの脳梗塞発症のリスクの高い患者群が相応にいたことで、結局SAVR群25齢、TAVR群14例に止まった。また、当院は日本全国から患者が集まっており、術後の外来フォローができない理由で、エントリーされなかった患者もいた。術前頭部MRIやMOCAが簡便ではないことなどの影響も無視できなかった。他にも、STS risk score 4%未満だが、術前の必要な検査が行うことができずに、対象から外れた患者も予想以上に存在したため、予想を下回る患者数となった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、外来フォローでのMOCAや頭部MRI検査を施行し、脳梗塞の発生頻度やMOCAの掲示的な推移に関して、順次解析していく予定としている。
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