研究課題/領域番号 |
22K16568
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 肺癌 / 癌微小環境 / 胸膜播種 / がん関連線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍内にはがん細胞のほか、がん関連線維芽細胞(CAF)に代表されるがん細胞周囲 間質細胞が存在し、がん微小環境と呼ばれるネットワークを形成しており、がんの進展や悪 性化に重要な役割を果たしている。肺がんの胸膜播種は原発巣から胸腔内へ散布されたがん 細胞が胸腔内で胸膜進展した病態であるが、しばしば悪性胸水貯留を伴い、予後不良因子の 一つである。本研究は、がん微小環境ががん進展に果たす多岐にわたる役割のうち胸膜播種巣の成立における役割に着目し、そのメカニズムを解明することで、肺がんの胸膜播種の形成において中心的役割を担う分子を明らかにすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究は、肺がん胸膜播種巣の成立におけるがん微小環境役割に着目し、そのメカニズムを解明することで、肺がんの胸膜播種の形成において中心的役割を担う分子を明らかにし、新規治療標的を探索することを目的としている。 2023年度は、非小細胞肺がん細胞株と臨床検体由来のがん関連線維芽細胞(Cancer associated fibrobrast, CAF)を用いて、3次元共培養で得られるがん細胞・CAFスフェロイドから分離抽出した肺がん細胞と肺がん細胞単独(スフェロイド非形成)のペアサンプルを用いて、RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を実施した。得られた解析結果から、がん細胞はCAFの刺激によりマトリセルラー蛋白CCN1の発現誘導されることを同定し、さらにCCN1発現上昇よるがん細胞の遊走能・接着能上昇、マウスモデルにおける肺がんの胸膜播種形成の促進を明らかにした。これらの結果より、CAFは胸腔内において、肺がん細胞のスフェロイド形成を促進し、CCN1発現誘導することにより胸膜播種形成を促進するという一連の進展機構を明らかとなり、さらにCCN1が胸膜播種に対する有効な治療標的となる可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がん細胞の増殖能、遊走・浸潤能、ECMに対する接着能、足場非依存性増殖能は、がん胸膜播種形成において重要な能力とされるが、in vitroモデルを用いてCAFがこれらを促進することを明らかにした。さらにマウス胸膜播種モデルを用いて、CAFをがん細胞と一緒に胸腔内移植することにより胸膜播種進展が促されることを確認した。次に、RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を実施し、がん細胞はCAFの刺激によりマトリセルラー蛋白CCN1の発現誘導されることを同定した。そしてCCN1発現誘導によるがん細胞の遊走能・接着能上昇、マウスモデルにおける肺がんの胸膜播種形成の促進を明らかにした。以上よりCAFは胸腔内において、肺がん細胞のスフェロイド形成を促進し、CCN1発現誘導することにより胸膜播種形成を促進することを示した。研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度に実施したがん・CAFユニットサンプルから得られたRNA-seq網羅的遺伝子発現解析を継続し、がん・CAFユニット中の肺がん細胞において活性化している遺伝子セットおよびシグネチャーを明らかにする。さらに、臨床検体を用いて、悪性胸水中に存在するがん細胞・CAFユニットの探索を免疫染色を用いて行い、臨床検体での現象確認、形態学的特徴の検討を行う。
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