研究課題/領域番号 |
22K16572
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
河野 幹寛 九州大学, 大学病院, 助教 (00906323)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 悪性胸膜中皮腫 / 腫瘍内微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ / 免疫療法 / 中皮腫 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は悪性胸膜中皮腫(MPM)の前臨床モデルを用いた腫瘍免疫研究に従事してきた中で、マウスMPM同所性腫瘍モデルの腫瘍内微小環境(胸水)中のマクロファージに、腹腔内マクロファージと同様のsubsetがあることを発見した。MPM進展に伴って、そのsubsetの1つであるsmall pleural macrophages(SPM)が腫瘍免疫抑制性に働くM2 phenotypeを獲得していることを見出し、SPMが中皮腫の進行に関与している可能性が示唆された。本研究の目的は、マウスMPM腫瘍内微小環境におけるSPMの意義を明らかにし、SPMを標的とした新規免疫療法・集学的治療の開発を行うことである。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまで悪性胸膜中皮腫(MPM)の前臨床モデルを用いた腫瘍免疫研究・新規免疫療法開発に従事してきた中で、マウスMPM同所性腫瘍モデルの腫瘍内微小環境(胸水)中のマクロファージに、腹腔内マクロファージと同様のsubsetがあることを発見した。MPM進展に伴って、そのsubsetの1つであるF4/80low small pleural macrophages(SPM)が腫瘍免疫抑制性に働くM2 phenotypeを獲得していることを見出し、SPMが中皮腫の進行に関与している可能性が示唆された。本研究の目的は、マウスMPM腫瘍内微小環境におけるSPMの意義を明らかにし、SPMを標的とした新規免疫療法・集学的治療の開発を行うことである。 まず、Balb/cマウスにAB12(Balb/cマウスにアスベストを暴露させて作成した中皮腫細胞株)を胸腔内投与することによって、同所性中皮腫マウスモデルの作成を行った。このモデルは無治療では15-20日ほどでエンドポイントとなる(Kohno M, et al. J Immunol. 2020)が、当研究室で行った実験では約50日ほど生存した。マウスのベンダーや細胞濃度を変更して実験を繰り返したが、ほぼ同様の結果であった。マウス・細胞株を変更(C57BL/6JマウスにAE17を投与)したが、腫瘍の生着が不良であった。 一方、腫瘍投与前・投与後3日目の胸腔内洗浄液を回収し、Flow cytometryにて胸水中のマクロファージを解析したところ、2つのsubsetであるF4/80low small pleural macrophages(SPM)とF4/80high large pleural macrophages(LPM)を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既報と同様の生存期間を有する同所性中皮腫マウスモデルの作成に難渋したため、研究計画の進捗に遅れが生じているため、やや遅れている、とした。
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今後の研究の推進方策 |
1. 腫瘍内免疫微小環境の解析:腫瘍投与前・投与後3, 7, 10, 14日目の胸水(あるいは胸腔内洗浄液)を回収し、マクロファージ (SPM, LPM)、Tリンパ球(CD3, CD4, CD8, regulatory T cell)、骨髄由来抑制細胞など各種免疫細胞の動態をFlow cytometryにて解析する。 2. SPMとLPMの差異の検討:腹腔内マクロファージにおいてsubsetを区別するマーカーとして報告されているMHC II, CSF1R, CD11cなどをFlow cytometryにて染色し、胸水中のSPMとLPMの違いを明らかにする。 3. SPMが腫瘍増殖に促進的に作用するかの検討:腫瘍投与後3日目・10日目の胸水を回収し、FACSでSPMとLPMをsortingし、AB12とin vitroで共培養し、AB12増殖に与える影響を解析する。 4. ヒトMPM胸水の解析:MPM患者の胸膜生検・胸水ドレナージ時の胸水検体を用いて、Flow cytometryを行い、マウス同様にSPM・LPMが存在するか調べる。 5. SPM阻害による新規免疫療法・集学的治療の開発:SPMを阻害する薬剤を投与することによって、本MPMマウスモデルの生存延長が得られるかを調べる。さらに、免疫チェックポイント阻害剤とSPM阻害薬剤の併用によって、抗腫瘍効果増強が認められるか評価し、新規の複合免疫療法・集学的治療を開発する。
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