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多重免疫染色による悪性胸腺上皮性腫瘍の新規biomarkerの探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K16575
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分55040:呼吸器外科学関連
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

石原 駿太  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (60751279)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード多重免疫染色 / 重症筋無力症 / 胸腺腫 / 胸腺上皮性腫瘍 / biomaker
研究開始時の研究の概要

予後不良の悪性胸腺上皮性腫瘍に対する新規抗癌剤治療として免疫療法が期待されるがその効果は明らかでない.免疫療法の治療効果予測のためのbiomarkerは胸腺上皮性腫瘍では確立していない.また免疫療法は副作用として自己免疫性疾患を合併するが,いつどのよ うに発症するか予測ができない.本研究では,多重免疫染色によりリンパ球を中心とした腫 瘍微小環境を明らかにすることにより,悪性胸腺上皮性腫瘍の治療効果予測が可能な腫瘍浸 潤リンパ球や,自己免疫性疾患を誘導する胸腺腫随伴リンパ球を同定し,悪性胸腺上皮性腫 瘍の免疫療法に対しての新規biomarkerを同定することを目的とする.

研究実績の概要

2023年度は、重症筋無力症(MG)と関連する遺伝子候補群を同定し、前年度に確立した多重免疫染色により識別した胸腺腫胸随伴リンパ球が、これらの遺伝子と関連するか検討した。まず胸腺上皮性腫瘍のThe Cancer Genome Atlas (TCGA)データベースを用いて、重症筋無力症の関連遺伝子の候補分子を検索した。TCGAに収載されているBulk RNA-seqデータから、炎症関連経路の遺伝子を解析対象とし、加重遺伝子共発現ネットワーク解析により共発現変動遺伝子群を作成し、MGの有無と胸腺腫組織型との関連を解析した。MGと相関する共発現変動遺伝子群のうち、1つは正の相関を示すモジュール、1つは負の相関を示すモジュールが同定された。さらにこれらは、胸腺腫の組織型にも特徴的な発現の挙動を示し事が確認できた。特にTypeB2ではMGと同様の発現挙動を示し、TypeABではMGと逆の発現挙動を示していた。これらの遺伝子群を遺伝子セット濃縮解析すると約半数の遺伝子がPI3K-Aktシグナル経路の構成分子である事が確認された。
手術検体を用いてPI3K-Aktシグナル経路のHub分子となるAktリン酸化抗体の免疫染色を行うと、MG合併胸腺腫では5例中4例で発現し、MG非合併胸腺腫で発現を認めなかった(0/5)。
また多重免疫染色でCD45/CD4/CD3/Bcl6/Foxp3/CD95/CCR7/IL17によりナイーブT細胞、濾胞性 T細胞、制御性T細胞(Treg)、Th17を識別すると、MG合併胸腺腫ではTh17が有意に上昇しており、一方で、MG非合併胸腺腫ではTregが有意に上昇している結果となった。Akt陽性胸腺腫でも同様にTh17が上昇し、Akt陰性胸腺腫ではTregが上昇する傾向がみられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度では胸腺上皮性腫瘍の重症筋無力症に関する遺伝子候補群を同定する事ができた。また前年度に確立した多重免疫染色法による胸腺腫随伴リンパ球のナイーブT細胞、濾胞性 T細胞、制御性T細胞(Treg)、Th17の識別で、MGの合併とTh17およびTregが関連していることがわかった。同定した遺伝子と、Th17やTregの関連を解析し、胸腺腫の重症筋無力症を予測するbiomarkerの候補として有用であるかどうかを確認する必要がある。

今後の研究の推進方策

2024年には、2023年度で同定した遺伝子群の中でPI3K-Akt経路に着目し、これらの遺伝子が臨床検体でMGと関連を示すかどうかを確認し、多重免疫染色でリンパ球の検索を行う事で、重症筋無力症の増悪を予測できるかどうかを検討していく予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Characteristic differences in the abundance of tumor-infiltrating lymphocytes and intratumoral developing T cells in thymoma, with special reference to PD-1 expression2023

    • 著者名/発表者名
      Furuya Tatsuo、Ishihara Shunta、Ogi Hiroshi、Masuda Kyoko、Shibata Saya、Nakazono Chiaki、Okada Satoru、Shimomura Masanori、Tando So、Yaoi Takeshi、Maeda Yoshinobu、Yamagishi Masaaki、Kawamoto Hiroshi、Itoh Kyoko、Inoue Masayoshi
    • 雑誌名

      Cancer Immunology, Immunotherapy

      巻: 72 号: 8 ページ: 2585-2596

    • DOI

      10.1007/s00262-023-03431-5

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 胸腺腫随伴リンパ球における重症筋無力症関連遺伝子の探索2024

    • 著者名/発表者名
      石原駿太, 矢追毅, 下村雅律, 岡田悟, 古谷竜男, 中園千晶, 井上匡美
    • 学会等名
      胸腺研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 胸腺上皮性腫瘍の隣接臓器浸潤に対する術前画像評価の検討2023

    • 著者名/発表者名
      石原駿太,下村雅律,岡田悟,古谷竜男,中園千晶,徳田涼介,井上匡美.
    • 学会等名
      胸腺研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 剣状突起下アプローチによるロボット支援下胸腺摘出術における助手ポートの役割2023

    • 著者名/発表者名
      石原駿太 ,下村雅律 ,岡田悟 ,古谷竜男 ,徳田涼介,西井真知子,河村太陽,井上匡美.
    • 学会等名
      肺癌学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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