研究課題/領域番号 |
22K16578
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松崎 智彦 東海大学, 医学部, 講師 (10769326)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 肺線維症 / 酸化型ジアシルグリセロール / プロテインキナーゼC / 酸化DAG / 酸化ストレス / 間質性肺炎 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではBLM誘導性肺線維化モデルマウスにおける酸化型DAG、PKCの関与並びに抗酸化薬剤投与による両者の発現の抑制や肺の線維化の抑制効果について検討を行う。本研究は今後肺線維症における新たな治療法の開発へとつながるものと考えられる。また、酸化ストレスは発がんとの関与も報告されており、本研究の成果から肺線維症のみならず癌やその他の疾患に対しても抗酸化薬剤の有用性を示す知見が得られることが期待され、有効な治療薬開発の基盤となるものと考えられる。
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研究実績の概要 |
【目的】肺線維化の発症には酸化ストレスが関与することが判ってきている。我々は酸化型DAGがPKCシグナルの過剰活性化を惹起し、肝臓の線維化を引き起こすことを明らかにしている。肺の線維化においても同様に酸化ストレスの負荷により産生される酸化型DAGが重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では、ブレオマイシン(BLM)誘導性肺線維症モデル動物を用いて、酸化型DAGの肺線維化に及ぼす作用を解析した。また、酸化型DAGの還元消去活性を有する薬剤であるEbselenによる肺線維化抑制作用を検討した。【方法】肺線維化モデルは8週齢のC57BL/6Jマウスを用い、BLM(4mg/kg)を肺内へ誤嚥させた。Ebselenは、BLM投与前1週間から採材までの期間、週5回経口投与(1回当たり0.16mg/kg)した。BLM投与2週間後、肺を採取し、組織学的、生化学的な解析を行った。【結果】BLM投与により過酸化脂質および酸化型DAGの増加し、また、コラーゲン線維が蓄積した。BLM投与によりPKCδのリン酸化が亢進していること、更にEbselen投与によりリン酸化が有意に抑制されていることが判明した。線維化のマーカー分子であるαSMA、collagen1及び線維化の重要なエフェクターであるTGF-βのmRNAの発現がBLM投与により増加し、Ebselen投与により有意に抑制された。【結論】以上のことからBLMの投与によって肺組織中で脂質過酸化反応が惹起されることにより酸化型DAGが産生され、その結果、PKCδの過剰活性化を介して肺の線維化が誘発されているものと考えられた。また、EbselenはBLM投与によって産生された酸化型DAGを還元消去することにより、肺の線維化を抑制していると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね予想通りの研究結果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
研究結果をもとに考察を加えて、さらに研究内容を充実させていく予定である。
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